近畿大が1敗を守り、他力ながら初優勝の可能性を残した。スクラムで圧倒し前半を24-0で折り返す。メンバーが入れ替わった後半は失速し、終了間際にトライを許すなど14失点したが力の差は見せつけた。

計7トライを奪って勝ち点5を加算。最終節を残し、優勝に王手をかけている全勝の首位京産大を勝ち点3差の2位で追う展開になった。

開幕戦で昨季大学王者の天理大を破り、同大も撃破。唯一の黒星は京産大だけだ。今季、関西の台風の目になっている近大は、大阪桐蔭出身の4年生プロップ紙森がFWの軸となり、バックスは天理高出身のCTB福山主将が引っ張る。

中島茂総監督は「私は昭和の生まれで考え方が古いのですが、ラグビーはスクラムで主導権を持たないと、優位に戦えない。4年かけて積み上げてきたものが何とか向上した」と自信をつかんだ様子。さらに中島総監督は「(関西の有力選手は)チャンピオンシップに届くところ(大学)に行きがちですが、紙森と福山には感謝している」と話した後に「これはリップサービスです」と笑い飛ばした。

数字上、優勝は京産大と近大の2校に絞られた。

近大の最終戦は11月28日の関西大戦。しっかりと勝利をつかみ、首位京産大が12月4日の関西学院大戦に敗れれば逆転優勝となる。

急きょ、関西の出場枠が4校に増えた大学選手権出場も決まった。この日、4トライを挙げた報徳学園出身の1年生WTB植田は「自分は走っただけ。まだ1人で打開する力は発揮できていない」としつつも「持ち味を全国で見せれるようにしたい」とキッパリ。脂肪で体重を増やすのではなく、筋肉で体を作るために、普段は揚げ物は食べないという大黒柱の紙森は「スクラムで関東のチームを圧倒したい」と闘志を燃やした。