早大が定期戦98度目となる慶大戦を40-33で制し、14日に86歳で逝去した元監督の日比野弘さんに白星をささげた。通算成績を71勝7分け20敗とし、OBで就任1年目の大田尾竜彦監督(39)は「『勝たないといけない』と、強く思っていた」と人生の師を悼んだ。

胸に刻む言葉があった。「極限で力を発揮するのは、当たり前のことをやった選手だよ」-。佐賀工高3年だった99年、当時早大監督の日比野さんが勧誘で訪ねてきた。ある主力がテーピングをほどき終え、手伝いの1年生に「ありがとう」とハサミを返す姿に、日比野さんが「今年の早慶戦は勝つ」と確信した話を聞いた。あれから22年。前節帝京大戦の敗戦後、2軍の公式戦で帝京大、東海大に連勝。「体を張った(慶大戦に出ない)4年生が勢いを与えてくれた」と自信があった。

この日、選手は躍動した。前半6分、CTB長田主将の突破を起点に、1年生NO8佐藤が先制トライ。前半だけで5トライとたたみかけ、長田は「いい攻撃ができた」と胸を張った。被トライ5本中4本を占めたモールの防御に課題を残したが、これで5勝1敗の勝ち点24。首位帝京大と3差で、他力ながら3年ぶり優勝の可能性を残す。最終戦は12月5日、伝統の明大戦(秩父宮)。地に足をつけてぶつかる。【松本航】