関学大が法大を47-7で下し、4連覇で史上最多の32度目の優勝を飾った。

第1Qに関学大RB斎藤陸(4年)が13ヤードのTDランで先制。13-0の後半開始直後に法大RB星野凌太朗(3年)のTDで反撃されたが、関学大WR前島仁(2年)とRB斎藤のTDで突き放した。斎藤は2TDと計201ヤード獲得の活躍で大会MVPに選ばれた。年間最優秀選手賞はRB前田公昭(4年)が初受賞した。

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RB斎藤の渾身(こんしん)のランだった。第1Q、左サイドで4年間苦楽を共にしたRB安西寛貴(4年)のブロックをうまく使ったTDで先制。甲子園ボウルで自身初のTDで流れを引き寄せた。「4年間で1番落ち着いてプレーできた」。大村和輝監督(50)も「安定している。信頼しています」とねぎらった。

斎藤は中学で、タッチフットボール部に所属。高校は「男として強くなりたい、格好良くなりたいから」という理由で江戸川学園取手アメフト部に入部。体重は今より17キロ軽い60キロだった。高校では同期8人、全体で20人程度の小さいチームで活動していた。関学大から推薦の声がかかったが、きっぱり辞めるつもりだったため断り、指定校推薦で関学大に入学。それでも6年間アメフトに関わった体がうずうずし「アメフトをやろう」と入部した。

大学では同期はスタッフ含めて52人の大所帯。つらいときもあったが、支えてくれたのは同期の存在だ。同じポジションの前田公昭(4年)は切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間。しかし、前田はコンディションが万全ではなく、学生最後の試合にフルで出場することができなかった。「前田の分も背負って集大成だという思いでした」。

今季のライスボウルは、学生と社会人の実力差が大きくなったため、学生は不参加。社会人同士の対戦となるため、甲子園ボウルが最後の試合になった。勝利のカウントダウンに入った時、前田から「勝てたのは斎藤のおかげ」と声をかけられ、涙がこぼれた。「4年生のチームで報われたことが本当にうれしい」。人数の少ないチームだった高校から甲子園ボウル最優秀選手賞になった。「僕のプレーを見て、(高校の後輩が)チームを盛り上げていこうと思ってくれたら、母校の先輩としてうれしいなと思います」。

卒業後は競技を続けるかは未定。「大学ではやらないと決めたけど、続けた。またアメフトをしたくなっちゃうかもしれませんね」と最後は笑った。【三宅ひとみ】

○…年間最優秀選手のミルズ杯は関西学生リーグMVPでもあるRB前田が獲得したが、甲子園では満身創痍(そうい)だった。立命大との西日本代表決定戦の1Q2シリーズ目で右足首を捻挫。甲子園ボウルまでの練習に参加できないほどの重傷だったという。この日はラン数わずか4回で獲得29ヤード。「自分のプレーで引っ張れなかったのは悔しいが目標にしていたミルズ杯をいただけて率直にうれしい」と話した。

○…第3Q、法大に傾きかけた流れを激変させたのが2年生WR前島が主役のスペシャルプレーだった。「練習でも1日1回はやっていた」という。6点差に迫られていたが、自陣からRBをおとりに68ヤードを走りきり再び13点差に広げるビッグプレー。「流れが向こうにある苦しい中で、自分らしいプレーができた。自信のあるプレーだった」と誇った。

<表彰選手>

◆ミルズ杯(年間最優秀選手)=関学大RB前田公昭(4年)

◆甲子園ボウル最優秀選手=関学大RB斎藤陸(4年)

◆同敢闘選手=法大RB星野凌太朗(3年)