粘る相手を振り切った。福島東稜が前橋育英(群馬)を87-81で下し、創部17年目で初の8強を決めた。多田優次朗(3年)は3点シュート3本を含む17得点。強豪校で活躍する同期から受ける刺激を原動力に変え、2戦連続の2桁得点で勝利に貢献した。

接戦を制した福島東稜には笑顔があった。6点リードの第4クオーター(Q)。勝敗を決するブザーが鳴り響くと、コート上でハイタッチ。ベンチも総立ちで盛り上がり、応援席は拍手で快挙を祝福した。創部17年目で初の8強。新たな歴史を刻んだ多田は「ベスト8を達成したので、しっかり自分たちのプレーをして勝ちたい」と、さらなる記録更新に向け意気込んだ。

1勝を呼び込んだのは、攻撃の要だった。69-69の同5分38秒、ナイジェリア人留学生のモーヌ・チソン・フランクリン(3年)がインサイドで勝ち越しシュート。続けてコート中央でスチールし、パスを受けた多田が速攻で突き放した。試合終盤に一時3点差とつめられたが「フランクリンが点数を取っていて、相手も中を固めていた。自分は3点シュート(3P)を狙っていた」と3Pをきっちり決めて、8強以上のチームが戦えるメインコートを手繰り寄せた。

同じ全国の頂点を争う同期から刺激を受けている。岩手・花巻中出身。同学年にはU-19日本代表の仙台大明成・菅野ブルース(3年)がいる。他の出場校でも知り合いがメンバー入りしており「ブルースを含めて自分の知り合いが全国大会で活躍している。自分ももっと活躍してやろうという気持ちもある」と闘志を燃やしている。

準々決勝はチーム一丸で金星をつかむ。今日27日の相手は今大会、2年ぶり5度目の優勝を狙う福岡第一だ。「ディフェンスでガードのところにプレッシャーをかけたり、今日みたいに3Pを明日も決めていきたい」。歴史を塗り替え勢いに乗る福島代表が、全国屈指の強豪校に全力で立ち向かう。【相沢孔志】

◆テレビ放送 男子決勝は12月29日午後1時からテレビ朝日系地上波で、女子決勝は12月28日正午からBS朝日でともに生放送。