新たな挑戦は続く。北京オリンピック(五輪)スノーボード男子ハーフパイプで金メダルを獲得した平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)は18日、都内で記者会見に臨み、新しい技と26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を目指す考えを示した。昨夏の東京五輪で日本男子史上2人目の夏冬両五輪出場を果たすなど、今季は「二刀流」で駆け抜けた。前人未到の挑戦を「こだわりの1つ」と言い切り、今後も先駆者であり続ける。

上下黒のスーツ姿の平野は、はっきりと宣言した。「新しい技にチャレンジしていきたいと思うし、次の冬の五輪も続けていける限りはチャレンジしたい」。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ大会を目指す。

北京大会では、3度目の五輪挑戦で悲願の金メダルを獲得した。3度の試技すべてで最高難度の大技トリプルコーク1440(斜め軸に縦3回転、横4回転)を成功させた。あれから約1カ月がたち、「いろんな人たちから『感動した』という声をいただいた。最近、ようやく実感し始めた」という。

4年後も出場となれば、引退したショーン・ホワイト(米国)以来の連覇が期待される。「追われる感覚は周りが思っているほど感じてない。(金メダルを)取ったからこそ、これからが大事。守るというよりは攻め続ける。自分自身と闘い続けられたら良いな」。4大会連続メダルとなれば、冬季五輪では日本勢史上初の快挙となる。

今季は「二刀流」で駆け抜けた。昨夏の東京五輪ではスケートボード男子パークで出場して14位。日本男子史上2人目の夏冬両五輪出場を果たした。「4年間の長い挑戦の1つだった」と述懐。「終わって、なかなか次、次、といけない気持ちもある。新たな挑戦にも踏み出していきたい気持ちもある」と述べ、24年夏のパリ五輪に向けた二刀流継続は明言しなかった。

ただ、挑戦は続く。こだわりとして挙げるのが、誰もやったことないことに挑み続けること。「自分自身がどういう人でありたいのか、他の人がなかなかやれないことだったり、自分しかないものを出すということ。そこは何においても変わらない」。

現在は体を休めながら、次なる挑戦を模索する。「この4年間以上のものは何か、それを探している時期。違った姿を見せられたらなというのと、自分で自分を超していかないと」と語った。23歳は走り続ける。【平山連】

○…平野は、主催者側が用意した色紙に「命」という文字をつづった。その理由について「自分が挑戦を続けられるのも、命があってこそ。常に命というものと紙一重でやっているのもあって、頭に浮かんで書かせてもらいました」と説明した。

◆平野歩夢(ひらの・あゆむ)1998年(平10)11月29日、新潟県村上市生まれ。TOKIOインカラミ所属。家族の影響で4歳か

らスケートボードとスノーボードを始める。村上一中から開志国際高を経て、日大スポーツ科学部卒。スノーボードのハーフパイプでは中学3年時の13年W杯で初優勝を飾り、五輪では14年ソチ、18年平昌と2大会連続銀メダル。昨夏の東京五輪ではスケートボードで日本人5人目の夏冬出場を果たし、今冬の北京五輪で悲願の金メダルを獲得した。