この階級で16年リオデジャネイロ五輪(オリンピック)金メダルのベイカー茉秋(27=日本中央競馬会)が約2年半ぶりに実戦復帰した。

19年11月のグランドスラム大阪以来の公式戦。翌月のワールドマスターズ大会(中国・青島)に出発する前日の12月9日、稽古中に右肘関節を脱臼した。2連覇が懸かった東京五輪への代表選考のラストチャンスを負傷で逃し、手術、コロナ禍もへて、以来の実戦だった。

決勝で田嶋剛希(25=パーク24)に敗れたが「小学校1年の時に柔道を始めた講道館に戻ってこられて、うれしかった」。昨年11月の講道館杯で復帰するはずが中止の憂き目に遭い、ようやくの畳だった。

今後は24年パリ五輪に向けて「もう1回、頑張りたい。リオの金メダルは過去のこと。東京五輪は自宅で見ていて悔しかった。負けたまま終わりたくない」と燃えている。

1回戦から「腕が張ってしまった」と苦笑いしたが「やっぱり試合が好きだな」と思った。

4月29日の全日本選手権は現地で観戦し、東京五輪の男子73キロ級で2連覇を遂げた大野将平から「来年は出ろよ」と期待された。

男子90キロ級で日本初の金メダルに輝いたリオから6年。「当時に比べれば、まだまだ。でも、まだまだレベルアップできるところもある。もうひと踏ん張りしたい」と、かつてのエースが再出発した。【木下淳】