東京サントリーサンゴリアス(東京SG)の日本代表候補SH流大(29)が、主将のCTB中村亮土(30)を気遣った。

リーグワン初代王者をかけた決勝は、ノートライで準優勝に終わった。

歓喜の輪をつくる初代王者、埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉)の傍らで、主将の中村亮は人目をはばからず悔し涙を流した。

流にとって、中村亮は帝京大時代の1学年先輩。試合後は「勝手に泣かせておけ」と冗談を飛ばしたが、続けたのは涙の主将をいたわる言葉だった。

「キャプテンなので、チームのプレッシャーを背負っていたんだと思う」

東京SG(旧サントリー)は昨季も前身のトップリーグ決勝で、埼玉(旧パナソニック)と対戦。26-31と力が及ばなかった。

それから1年。新リーグとなった今季は14勝2敗の成績を残し、リーグ戦を1位通過してプレーオフに臨んだ。雪辱を果たそうと意気込んだが、またしても優勝を逃した。

「最後に結果が伴わなくて、自分たちの未熟さを感じた。去年も負けて、今年もパナソニックに負けて…。悔しい」

流は「悔しい」という言葉を繰り返し、何度も「自分たちは未熟」と強調した。

この日は3万3604人の観客が詰めかけた。涙を流す中村亮の横で、流はスタンドへ頭を下げていた。流は言葉に力を込める。

「僕は観客が多ければ多いほどうれしいんです。3万人を超える中でプレーするのは貴重なこと。そういう舞台だからこそ、勝たないと」

頼れる主将と、応援してくれるファンと。来季は一緒に笑顔で終わりたい。【藤塚大輔】

○…東京SG主将でCTBの中村亮が、リーグワン最多3万3604人の観衆を喜んだ。コロナ禍で大歓声とはいかなかったが、拍手などで背中を押され「モチベーションが上がる。こういうところで毎試合やりたいのが本音。自分たちのやるべきことをやって、来季も盛り上げていきたい」と振り返った。1月の開幕戦中止など、運営側は難しいかじ取りを強いられた1年目。東京SGを代表し「臨機応変にやらないといけない状況で、決勝を迎えられたのは、選手としてうれしい。お疲れさまでした」と運営関係者をねぎらった。