レバンガ北海道の佐古賢一監督(51)が10日、札幌市内で契約更改会見を行った。今季は東地区9位で終了。「勝負」という言葉を何度も繰り返しながら、就任2年目のシーズンへ巻き返しを誓った。18日には同学年でかつての戦友、折茂武彦社長(52)の引退試合に出場予定。まずは花道のコート上でアシストを決め、そして来季はチームをチャンピオンへと導き、恩返しする。

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佐古監督のビションは明確だった。就任2季目へ向け熱く語った。「とにかく勝負にこだわっていく采配、戦術、戦略。そっち側にしっかりかじを切っていきたい」。1年目はクラブの要請もあり、若手の育成及び勝利を取りにいくというスタンスだった。だが「来シーズンはそういうことも全部度外視してやっていきたい」と話すなど「勝負」という言葉を何度も口にした。

今季は21勝35敗で東地区9位に終わった。ショーン・ロング(29)が得点王、橋本竜馬主将(34)がベストフリースロー成功率賞を獲得するなど奮闘も、上位進出はならなかった。「オフェンスの部分でいうと、反応が悪かったのはトランジション(攻守の切り替え)。そこでポイントが取れなかった」。外国人選手中心の展開をせざるを得なかったことが課題の1つとして残った。「トランジション、オフェンスでいう1対1の特性という部分を見極めた上で、新戦力を加えることができたら」と補強ポイントも具体的だった。

同期から今も大きな刺激を受け続けている。折茂社長は70年生まれの同学年。かつては戦友も、今は同じチームの監督と社長という立場で戦っている。オフ期間となった今も、真剣な話から砕けた話まで、電話でやりとりすることも多い。「来シーズン勝負させてほしい」と話すと「俺も覚悟を持っているよ」と言葉が返ってきた。

18日には同社長の引退試合に、チームレジェンドの一員として出場を予定する。佐古監督が現役を引退した11年前、札幌で行われた東日本大震災のチャリティーイベントが思い出深い。折茂社長の音頭で、周りの選手たちに胴上げしてもらったことが今でも忘れられない。当時の写真は今も大切に自宅に飾ってある。その時の感謝を胸に「折茂代表に往年のようなシュートを1本でも多く打たせたい」と願う。花道となる試合は最高のパスでアシストを、来シーズンはタイトル奪取で、恩返しする。【山崎純一】

◆佐古賢一(さこ・けんいち)1970年(昭45)7月17日、横浜市出身。北陸高-中大-いすゞ自動車-アイシン。北陸高3年で全国高校総体優勝。95年ユニバーシアード準優勝。トップリーグ優勝9度、MVP3度、ベスト5を9度。日本代表ではPGとして97年アジア選手権2位。11年3月引退。14~17年5月広島監督。17年6月~21年7月男子日本代表アシスタントコーチ、18年から男子アンダーカテゴリー日本代表ヘッドコーチを兼務。愛称は「ミスター・バスケットボール」。家族は妻と1男3女。