高校ボクシング東北大会が3年ぶりに開幕した。男子はインターハイに出場する東北6県の各階級優勝者を1部、強化試合のために集まった選手が2部として試合を行った。女子はまだ全国大会はないが、競技者の増加を踏まえ、東北大会が実施された。1部では今春の選抜ライト級優勝の秋元啓介(青森山田、2年)が、初戦を3回1分15秒のRSC勝ち(アマチュアボクシングでレフェリーが行う勝敗宣告)。選抜優秀選手の実力を見せつけた。

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ノーガードのサウスポースタイルで相手を手玉に取った。開始早々、秋元の右ジャブが相手の顔面にヒット。ガードを下げ、低い位置からパンチを繰り出し、読みづらい軌道でうまく上下に打ち分けて相手を圧倒。1回からリズムをつかんだ。

「ノーガードで相手のパンチを見て、避けて、それに合わせて打ち込むスタイルです」。終始、上体を前後左右に揺らし、相手に的を絞らせなかった。パンチもよく見えており、うまく合わせたカウンターで相手の体力を徐々に削っていった。秋元は自身のコンディションについて「何ひとつ悪いところがない。逆になさ過ぎて不気味なくらいです」。絶好調の秋元の攻撃は、レフェリーの勝敗宣告まで止まることはなかった。

選抜優勝からスピードと攻撃性に磨きをかけ、青森県総体で初のインターハイ出場を勝ち取った。だが、初戦を振り返って「(磨いてきたものが)あんまり出せなかった」と反省。秋元は「もっと速くなれたら」と貪欲な姿勢を見せ、「この大会を優勝するのはもちろんのこと、全員を圧倒して仕留めていきたいです」。自身のスタイルを貫いて相手を翻弄(ほんろう)し、インターハイ本番に向け勢いをつける。【濱本神威】

<弘前工・浜田実来 堅いガード>

今春の選抜ウエルター級準優勝の弘前工・浜田実来(3年)は、日大山形・石井翔(2年)に5-0で判定勝ち。選抜敗戦から鍛えてきたガードが生きた。「ガードの練習をずっとやってきました。今回はあまりもらっていないと思います」と成果を実感。3回には自信がある体力を生かし、右ストレートから左フックのコンビネーションや連打で攻め続けた。