群馬・東農大二高の吹奏楽部が、試合前のフランス国歌と君が代を演奏した。

大観衆の前で部員164人から選抜された40人が、曲調の異なる両国の国歌を披露。部長の須田一輝さん(3年)は「普段は1000人ぐらいの前で演奏しますが、5万人は桁が違う。音楽は人がいて成り立つ。気持ちを込めたい」と意気込み、演奏に臨んだ。

3年生が入学した20年春は新型コロナウイルスの感染が急拡大した時期で、学校に通わないリモート授業が続いた。須田さんは「新しい人との出会い、接触が全くなく、高校生活が思っていたのと違った」と明かす。副部長の大竹陽依(ひより)さん(3年)も「発表の場があっても無観客だったり、人数制限があって、満席の中で拍手をもらう機会がなかった」と歯がゆい毎日を振り返った。

今回の演奏は日本協会が一般公募。昨年度の全日本マーチングコンテスト、マーチングバンド全国大会でともに金賞に導いた樋口一朗顧問(59)は「国際試合に関われるのは初めて。グローバル教育に力を入れていることもありました。うちはラグビー部が強豪ですが、全国大会から遠のいている。ラグビー部関係者にもエールを送りたい」と興味を持った。部員に相談し、約1週間の練習で選考用の映像を作成した。

6月30日の正式決定後はYouTubeなどで曲のテンポを研究し、毎日欠かすことなく練習を続けた。同校に通うフランスからの留学生と保護者にも披露し、意見をもらったという。

副部長の大竹さんはこれまでラグビーに関して、あまり知識が深くなかったという。貴重な経験を積み「後ろの仲間にパスを回して点を取る。仲間との信頼が大切と思いました。信頼関係やチームプレーを見て、自分たちにも生かせることを生かしたいです」と目を輝かせた。【松本航】