日本が、世界選手権のエペ団体では男女を通じて初となる銅メダルをもぎ取った。3位決定戦でハンガリーに45-30で勝った。

昨夏の東京オリンピック(五輪)で日本悲願の金メダルを獲得していた見延和靖(35=ネクサス)山田優(28=山一商事)加納虹輝(24=JAL)に、引退した宇山賢に代わって松本龍(日大)が加わった4人で出場。最後はハンガリーを振り切った。

第5ピリオド(P)を終えて12-12の我慢勝負。ロースコアの展開で終盤に入り、第7Pの山田、第8Pの見延、最終の第9Pでアンカーの加納がそれぞれ仕事をし、リードを広げた。

準決勝までは順当に駒を進めたが、イタリアに敗れていた。山田、加納、19日の個人戦で日本のエペ種目として初の銀メダルを手にしていた見延が、ピスト(競技コート)に立った。

序盤は競ったが、中盤から徐々に差をつけられて31-41で敗れた。しかし、地力があった。五輪に続く金メダルこそ逃したが、切り替えて難敵のハンガリーを15点差で圧倒した。

結果を逃せない重圧があった。大会直前の先月、逆風が吹き荒れた。日本代表を巡っては、男女エペの沖縄合宿(6月18~25日)がレジャー中心だったと週刊文春に報じられ、今大会の代表選手が参加していた。

日本協会の武井壮会長は一部宿泊費など不適切な部分があったことについては謝罪。助成金の申請を全て見送った。一方で選手にヒアリングした結果、内容自体は世界選手権に向けた心身の調整であり「必要だった」と認めていた。

その経緯から、名誉挽回の奮闘が求められていた。結果は銅メダル。五輪と双璧をなす世界選手権でも新たな歴史を刻むと、ピスト上で輪になった。負ければ何を言われるか分からない-。プレッシャーに打ち勝った「エペジーーン」に、笑顔が戻った。【木下淳】