前回大会女王の東北(宮城)は3位となり、2連覇を目指した夏は道半ばで幕を閉じた。三重との準決勝。天間美嘉と横山心花(ともに3年)の「エースペア」がファイナルゲームの末に力尽き、1-2で競り負けた。昨春選抜から公式戦負けなし。東北勢史上初となる「4季連続優勝」への期待が高まったが、あと1歩及ばなかった。それでも、勝ち続けるプレッシャーと闘い続け、選手たちは、最後まで堂々とやり切った。

天間の放った最後の打球が、ベースラインをわずかに越えた。三重に1-2で惜敗。東北が挑んだ夏連覇、4季連続優勝への挑戦は道半ばで散った。

東北の天間・横山の「黄金ペア」が、勝負の明暗を分けた。3-3で突入した7点先取のファイナルゲーム。0-5と崖っぷちに立たされた。横山は「もう頭が真っ白だった」と率直な心境を明かす。意地で1点を返すのが精いっぱいだった。1-7。序盤の失点が大きすぎた。試合後、ベンチで見守った仲間からは「ありがとう」。「よくやった」。「良い試合だった」と声をかけられた。誰も責めることはできない。それだけ2人の信頼は厚く「エースで負けたら仕方ない」と、誰もがそう思っていた。「仲間の言葉にうるっときました」と悔し涙をこらえることはできなかった。

2人は「重圧」の十字架を背負い続けた。1年の秋からコンビを組み、昨夏は個人戦で「高校総体8強」入り。2年秋には、チームの大黒柱に成長。その分、自然とプレッシャーがのしかかった。「全国大会の試合前日は手が震えたりする」。勝ち続けることで芽生えた「敗戦」への恐怖心。最後まで目に見えない敵とも戦い、準決勝までの3試合は全勝で、3位入賞に大きく貢献した。

自らを奮い立たせた。第2シードで臨んだ個人戦では、まさかの3回戦敗退。「戦略ミスだった」と冷静に受け止めるも、2日後に控える団体戦へ気持ちをすぐに切り替えることはできなかった。「モチベーションが前日までは上がらなかった」。それでも、「(団体戦で)勝ち続けるために頑張らないと…」と必死に言い聞かせた。この日は前衛ではスマッシュ、ボレーと要所で勝負強さを発揮。気持ちをリセットし、縦横無尽に躍動した。

「優勝したかった。でも、全員で戦い切れたことが良かった」。集大成の夏は筋書き通りの幕切れではなかったが、最後はみんなで抱き合い、笑顔で大団円を迎えた。【佐藤究】

◆東北・中津川澄男総監督(女子が団体戦3位)「最低限は頑張ってくれたけど、優勝できたかな。悔しさを持ってもらって、次に生かしてほしい」