今大会で引退を表明している元世界32位で元日本代表の奈良くるみ(30=安藤証券)が、シングルスの予選1回戦を突破した。ダブルスでは主催者推薦枠で本戦から出場できるため、この日の試合に負けても、最後にはならない。「普段通り、いつも通りと思って入った」というが、さすがに「試合に入る前にこみ上げてくるものがあって大丈夫かなと」不安にもなった。

しかし、相手はダブルスの専門選手。シングルスの世界ランクはなく、奈良はあっさりストレート勝ち。「何よりも勝利して次につなげられたのは良かった」と、ほっとした表情だ。

6月5日に閉幕した韓国・昌原のツアー下部大会で優勝。その次の日に「今シーズンで辞めるのがいいと感じた」。来年のことを全く考えることができなかった。そして、原田夏希コーチに「何があっても、今シーズンで辞めると話した」。その話をすると、涙がこぼれた。

韓国で優勝したことで「まだ頑張っていると感じることができた」。ずっと、テニス人生を「逃げて終わることだけはしたくなかった」。頑張れているうちに終えることができる。それが奈良が引退を決めた理由でもあった。

ジュニア時代から天才と言われ、12歳から18歳まで、各年代のタイトルを総なめにした。しかし、155・5センチという小柄な身体は、プロに転向すると大きなハンディとなった。180センチを超える外国選手に、パワーで押され続けた。

それでもタフに、諦めることなく球を追い、14年にはリオオープンでツアー初優勝、シティオープンでも準優勝と、展開力と粘りで自身最高32位にまで上り詰めた。09年4月にプロ転向し13年。しずかにラケットを置くときが迫っている。

◆東レ・パンパシフィックオープンは、9月19日から25日まで、WOWOWで全日生放送。WOWOWオンデマンドでも同時ライブ配信される。