北北海道で旭川工が12-5で帯広工を振り切り、3年ぶりに初戦を突破した。ラグビー経験者が1人という雑草軍団が、6年前に花園出場を決めた時の1回戦と同じ相手を同じ場所で下し、幸先の良いスタートを切った。

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前半20分、0-0の均衡を破ったのは、中学時代はソフトテニス部のNO8野田航太郎(3年)だった。ゴールライン手前5メートルのモール最後尾でボールを受けると、モールの左側に回り込んで相手DFラインの間を突破。左中間に飛び込んだ。ソフトテニス部時代にワールドカップで見た日本代表リーチ・マイケルに憧れ、高校でラグビーに転向した男が、チームに勢いをもたらした。

7-5と2点差に迫られ、追加点がほしい終盤。試合終了間際の後半30分に試合を決めたのは、元バスケットボール部のFW伊藤北斗(2年)。そして元吹奏楽部でパーカッション担当だったFW谷口莉己(3年)が終始チームのムードを盛り上げ、勝利をつかんだ。唯一のラグビー経験者で主将のFB吉川享希(3年)は「まとめるのは大変でしたが、このメンバーだから勝てました」と顔をほころばせた。

6年前に花園出場を決めた時と、会場も初戦勝利の相手も同じという験の良さはあるが、22日の準決勝では4連覇中の強豪・旭川龍谷と対戦する。旭川・富良野地区予選で0-77と大敗。就任4年目で北大会2勝目となった中沢孝弘監督(57)は「能力の高い選手がいるわけではないが、最後までうちのラグビーをやり続けて、食らい付いてほしい」と、選手たちの奮起に期待した。