フィギュアスケート男子で3月の世界選手権を制した宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が、今季の目標を発見した。8日に開催される3地域対抗戦「ジャパンオープン」(さいたまスーパーアリーナ)の前日練習に7日に参加。同組で滑った、初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)成功者イリア・マリニン(米国)のジャンプに、目指すべき姿を見いだした。

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肩書、年齢は本当に頭にないのだろう。五輪2大会メダリストにして現世界王者の宇野は、7歳下のスケーターの跳ぶ姿に喜びを感じていた。「1つの練習でも今季、自分が何を目指すべきか、そこに目標があった気がして。うれしくて、今年1年も頑張れそうだなと思えて安心しました」。

眼前で展開されたのは異次元の構成だった。9月の国際大会で史上初の4回転半を決めた17歳は、フリー曲の滑りで、6種類7本の4回転を組み込み、滑りきった。「アクセル、僕はできないかなと思っているので、すごいなと単純に見る側の気持ちになるんですけど」。目を見張ったのは他の種類。「僕より高い確率、クオリティーでやっているの見て刺激を受けました」と心から言った。

これまでも、同じだった。五輪2連覇の羽生結弦さん、北京五輪金のチェンへの敬意を隠さず、その姿を追うことで成長してきた。そこに自身の立場、相手の年齢などは関係ない。2人が競技会にいない今季はどうするか…。思案する中、練習といえど、世界の衝撃を与える演目を披露したマリニンが、次の目標となってくれた。

「やはり、こうやって現れるんだな」。そのうれしい感慨が、また成長の糧となってくれる。【阿部健吾】