元職員による横領などの組織的隠蔽(いんぺい)があった日本バドミントン協会に対し、国からの来年度の強化費が2割削減されることになった。スポーツ庁など統括5団体による円卓会議で17日に決まった。

本年度に同協会が受け取る強化費は約1億7000万円の見通し。仮にこの金額を当てはめると約3500万円の減額となる。

またバドミントン協会に対して本年度、国が策定する競技団体の運営指針「ガバナンスコード」の適合性審査を実施することも決定。協会内の管理体制が不十分と見なされた場合は来年度の強化費の申請をできなくなり、交付される強化費はゼロとなる可能性もある。

報道陣に公開された会議冒頭で、スポーツ庁の室伏広治長官は、「日本バドミントン協会には公共性を有する組織として強い自覚を持ち、選手の活動環境に悪影響が及ばないように、説明責任を尽くした真摯(しんし)な対応をしていただきたいと思っている」と述べた。

円卓会後終了後、日本バドミントン協会の丹藤勇一事務局長は報道陣に対し、「まだ何も見てないし、文書をいただいたわけではない」としつつも、「真剣に受け止めたいと思うし、どういう対応をしていくかも協議していきたい」とコメント。「後手後手になっているが、皆さんにしっかりお伝えするので、お待ちいただければ」と述べた。

元職員による約680万円の私的流用などがあった日本バドミントン協会は、第三者委員会による報告書を先月受理し、JOCに提出した。しかし同協会は1カ月以上たっても調査結果を公表していない。

スポーツ庁によると第三者委の報告書には

▽理事らによる損害の補てんおよび自主返納によって協会としての対応を終結させたことは明らかにに誤りで、職責に反する行為

▽会計監査人に対し、当該事実を意図的に隠蔽したと言わざるを得ない

▽内外に対して意図的に虚偽の説明をしていたことは明らかであり、不正行為をさらに隠蔽する対応をした者として極めて悪質であると指摘せざるを得ない

といった旨の記載があったことなどから、この事案を不祥事と認定した。

先月22日にバドミントン協会が開いた臨時理事会で、関与した関係者の処分などが決まったが、その詳細についても協会まだ明かしていない。関係者によれば、最も重い処分でも一部幹部への「厳重注意」にとどまる見込み。【奥岡幹浩】