バスケットボール女子日本代表で、今月にギリシャリーグのエレフテリア・モシャトウに加入したオコエ桃仁花(23)がこのほど、日刊スポーツの単独取材に応じた。

3回に分けた最終編。ギリシャでの生活や、自身が描く将来像について聞いた。(聞き手・奥岡幹浩)

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所属チームの本拠地モシャトウは、首都郊外に位置する街。アテネの中心部までは30分ほどの場所にあるという。新天地での生活にも、少しずつ慣れつつあるようだ。

「ギリシャは、日本と同じぐらい安全な国かなと感じています。1人で外を歩いても普通に大丈夫。性格もみなさん穏やかですね」

現地での生活を始めてまもなく、街で出会った猫の写真をSNSにアップした。現地での癒やしは、猫と遊ぶこと?

「そういうわけではないんですけれど、猫はすごく多いですね。街のいたるところにいて、外でご飯を食べている人を見ると足もとに寄ってくる。でも本当のことをいえば私、猫は苦手なんです(笑い)」

今回のインタビュー前編でも話していたように、ギリシャでのプレーではフィジカル面の強さが要求される。体調維持や体作りという面においても、食生活は重要な要素の1つだ。

「チームをスポンサードしてくれるレストランがあって、そこでおいしい料理を食べさせてもらっています。お気に入りはパスタなどのイタリアン。あとサラダとかもよく口にします。ギリシャ料理を食べる機会はまだ少ないかな。というか、どういうのがギリシャ料理なのかまだよく分かっていないかも(笑い)。でも今度食べに行きたいですね」

コート内外においてコミュニケーションを図るさいに不可欠なのが英語。日本で暮らしていたときから、英語力は少しずつ磨いてきた。

「もともと海外に行きたかったので、準備はしていました。英語を聞き取ることについて不自由はあまり感じていません。話すことに関してはまだ遅いというか、頭のなかで考えながら伝える感じですが、すごく困っているというわけではないですね。私はギリシャ語を話せないけれど、チームメートのギリシャ選手はみんな英語で話しかけてくれる。だからコミュニケーションは問題なく取れています」

異国の地でも大きな不自由なく充実した日々を送る中で、1つ想定外だったのがギリシャの“空気”だという。

「とにかく乾燥しているんです。空気が乾いているから、顔がすぐパリパリになってしまう。だから化粧水が欠かせない。出かけるときには常にかばんの中に入れています。乾燥がすごいとは聞いていたけれど、こんなにすごいとは。こういう話をしている今も、パリパリきています(笑い)」

コート内外でのさまざまな経験は、すべて成長の源となっていく。新しい生活は始まったばかりではあるが、次のステージや将来像についてはどんなイメージを抱いているのか。

「まだ具体的なものがあるわけではないけれど、しっかりステップアップしていきたいとは思っています。そのためにも、まずは今の環境に慣れ、初めて所属する海外チームで自分の存在を確立させていきたい。多くのエージェントが見ているヨーロッパのリーグでプレーするということは、オファーが来やすい環境にあるはず。その中で、しっかり自分を出して行ければと思っています」

その挑戦は始まったばかり。神話の都アテネで、新たな物語を紡いでいく。

 

◆オコエ桃仁花(もにか)1999年(平11)2月7日、東京・東村山市生まれ。母の影響で小学6年からバスケットボールを始める。東京・明星学園高から17年にWリーグのデンソーに加入。19年に富士通へ移籍した。日本代表として21年東京五輪銀メダル獲得に貢献。今秋のシドニーW杯にも出場した。今年10月にギリシャ・リーグのエレフテリア・モシャトウに移籍。身長182センチ。背番号99