雪が降る日、「脳脊髄液漏出症」によりチームとは別メニューだったアランマーレ秋田の佐藤ひかるは黙々とラダートレーニングを行っていた。2月下旬、昨季最終週の新潟戦を控え、チームは由利本荘市で調整。その練習前、記者に声をかけてくれた。「お久しぶりです。シーズンは間に合わなかったですけど…。今は来シーズンに向けて頑張っています!」。飛躍を期す来季に向け、目の前の課題に集中していた。

21年9月には本人を取材。Wリーグで出身校の桜花学園(愛知)の同級生や先輩、後輩、東京オリンピック(五輪)の銀メダルメンバーらと対戦することに「ビビらずに胸を借りるつもりでプレーしたい」と語り、色紙に「笑顔で挑戦」と目標を記した。

長期間の調整を経て、練習に復帰したのが4月。今季から副主将に就任したが、「あまり『副主将だから』みたいなのはなく、変わらず、チームを引っ張りたい」。特別な思いで臨んだシーズン開幕から2戦連続で20得点以上を挙げ、見事に復活をアピール。今季初勝利に涙を流し、その後、何度も笑みをはじけさせた。佐藤ひの秋田2年目の挑戦が始まった。【相沢孔志】