体操ニッポンの世界王者奪回はならなかった。団体総合予選を2位の英国に7点以上の大差をつけ、1位で通過した日本男子だが、決勝では、6種目合計253・395点で銀メダルとなった。3位にまで与えられる24年パリ五輪の出場権は獲得した。金メダルは、257・858点の中国で、18年ドーハ大会以来の栄冠となった。

エースの橋本大輝(21=順大)だけではない。選手全員、そして水鳥寿思代表監督も加えたスタッフ陣も、今大会の合言葉は「団体で金メダル」だった。橋本は「最優先は団体で王者を奪い返すこと」と、繰り返し公言してきた。それだけに「団体の金は、すごく遠い」と悔しさを込めた。

予選は、大きなミスを、1つにおさえ、他の強豪国がミスを連発する中、1位で通過。最高の流れを呼び込んだと思えた。決勝も、最初の床運動で出場8チーム中、最高の43・366点をマークする滑り出しだった。

しかし、続くあん馬でつまずいた。あん馬で種目別決勝に進んだ土井陵輔(20=日体大)だったが、この日は落下。続く、あん馬の得点源として代表入りしたはずの谷川翔(23=セントラルスポーツ)も落下し、2種目終わった時点で6位に転落した。土井は、決勝の難しさを「いつも失敗しないところでミスが出てしまう緊張感があった」と、独特な雰囲気を強調した。

最終種目の鉄棒を迎えたところで、何とか2位にまで戻した。しかし、最終演技者となった橋本が、17点台という不可能な高得点を出さない限り逆転はない状況。橋本は、F難度の大技「リューキン」で落下し、万事休した。

今回、大会で使用する外国製の器具を、事前に国内で購入できず。早めに英国に入り、器具になれるための事前合宿を長めに行った。そこで、橋本は両手首を痛め「事前合宿で調子を崩し迷惑をかけた」と話した。

前を向くしかない。東京五輪で金メダルを獲得した個人総合が待つ。東京五輪直後の北九州で行われた世界選手権では、橋本は銀メダルに甘んじた。「この悔しさを個人決勝で晴らしたい」。エースが気持ちを切り替える。