男子は、日本歴代6位の2時間5分51秒を持つ山下一貴(29=三菱重工)が、2時間10分49秒で金メダルを獲得した。
日本勢の優勝は18年ジャカルタ大会の井上大仁以来、史上7人目となった。女子は日本最高記録(2時間19分57秒)の保持者の矢田みくに(26=エディオン)が、2時間27分56秒で銅メダルを獲得した。
優勝タイムを日本記録と比較すると、男子は5分54秒、女子は8分32秒も遅い。これはただのスローペースではなく、マラソンの「もう一つの面白さ」が詰まってもいた。
今回は世界選手権や五輪と同様、ペースメーカーをつけていない。つまり、タイムアタックのためのレースではないことが言える。
テレビ解説をしていた青学大・原晋監督(59)も「大事なのは着順」と話す。結果は11位に終わった教え子の吉田祐也(29=GMOインターネットグループ)に「落ち葉拾いのごとく着実に拾っていってほしい」と求めていた。
さらに9月で涼しさが出てきたとはいえ、冬場のマラソンと比べると、高温多湿の傾向にある。
過酷なレースとなるため、ランナーにはペース配分以外に暑熱対策や集団での位置取り、スパートの駆け引きなども求められる。
23年世界選手権ブダペスト大会に出場した山下は終盤で足がけいれんし、失速した苦い記憶を持つ。今回序盤は「温存策」に徹しながら上の順位を狙い、終盤でハイペースで押した。
海外2選手との激しい心理戦を制したクールなレース運びには原監督も「マラソンは最初の先頭が大体遅れていく。その中で山下君が一番冷静に走っている。常にいい走り」と太鼓判。日本陸連の高岡寿成シニアディレクターも「前回大会では取れなかったメダルを男女とも取れた。特に男子は山下選手が金メダルで、見ていて頼もしく映ったレースだった」と評価した。
「速さ」だけでなく、「強さ」も見られるのがマラソンの面白さでもある。【泉光太郎】

