今年1月の4大陸選手権5位の松生理乃(18=愛知・中京大中京高)は、57・68点でSP9位発進となった。演技後は涙声で「何が何だかわからなくなっちゃって…」と悔しさをにじませた。

冒頭のダブルアクセル(2回転半)は成功させたが、続く3回転フリップで転倒。後半に組み込んだルッツ-トーループの連続3回転ジャンプでも転倒した。

演技を終えた後は、落胆の声を漏らした。「日本で練習している時から、何が何だかわからなくなっちゃって。どうしたら跳べるのかとか、何で跳べていたのかというのも全くわからなかった。感覚が違うのはわかるんですけど、どうしたら元の感覚に戻るのかも、もうさっぱりわからなくなってしまって」。

松生は体調不良のため、10月下旬の第1戦スケートアメリカのフリーを棄権。その後も体力が戻らず、今大会は万全ではない中、「ショートとフリーで滑り切ること」を目標に、フランスのリンクに立った。

結果はSP9位。「まだ感覚がつかめない」と声を落としながらも、わずかに前進した実感も得た。

「アクセルも最後の6分間練習では跳べなかったんですけど、最後の本番は跳ぶことができたので、そこはよかったかなと思います」

フリーを翌5日に控える。静かな口調のまま、言い切った。

「フリーまではあと1日しかないので間に合わない部分もあるとは思いますが、少しずつでも、1センチずつでも上げていって、全日本選手権(12月21~25日)でいい演技ができるように準備したいと思います」

すぐに思い通りのジャンプが跳べるわけではないかもしれない。ただ、目に見えないような進歩がなければ、次にはつながらない。松生は自分に言い聞かせるように、フリーを見据えた。(アンジェ=松本愛香通信員)