女子学生柔道の交流と発展を目的とした「仙台カップ」が15、16日、仙台大柔道場で3年ぶりに開催された。大会には全国から13大学16チームが出場。主管の仙台大は、A、Bの2チームが参加。Bチームが2部のプリンセストーナメントで優勝した。中でも4月から仙台大に入学する70キロ級井上七海(島根・明誠、18)が躍動。新1年生ながら大学生相手に技ありを奪い、チームの優勝に貢献した。

期待の新星が新天地で実力を見せた。井上は、準決勝の立命大戦で中堅として出場。3学年上の小鮒未来(3年=前橋育英)から得意の内股で技ありを奪って勝利し、決勝進出に貢献した。大将として出場した大体大との決勝では、2学年上の辻野いづみ(2年=初芝橋本)から合わせ技一本。残り1分23秒に得意の内股で技ありを奪うと、残り20秒で大内刈りを決め、勝負あり。井上は「決勝前は緊張していたんですが、先輩たちが3勝してくれていたので、安心して試合に臨めました」と振り返った。

仙台大の決め手は「練習のメリハリ」だ。井上は昨年6月の中国高校選手権で同大・南條和恵監督(50)に声をかけられ、その後同大の練習に参加。「すごくメリハリのある練習をしていて、自分も先輩たちと一緒にここでやりたいと思いました」。ほかにもいくつかの大学から声はかかったが、心はぶれなかった。仙台大として臨む初めての大会で、実力を遺憾なく発揮した井上。大会後には「楽しかったです」と笑顔がはじけた。

5日の島根県柔道選手権をオール一本で勝ち上がった新星は今後、3月5日の全日本女子選手権中国地区予選会に島根県代表として出場する。井上は「大学生もいて厳しい試合になるとは思いますが、気持ちだけは負けずに攻め切る柔道をして、全国大会に行きたいです」と意欲十分。高校での集大成を発揮し、全国切符を手に大学柔道の門をたたく。【濱本神威】

◆Aチームは5位

仙台大Aチームは、1部のクイーントーナメントに出場し5位。仙台カップ第1回大会以来の決勝進出と初優勝を狙ったが、かなわなかった。南條監督は「この大会に招待しているチームは日本一を狙えるチームが何チームもある。(仙台大は)残念ながら敗退したが、課題も見え『やれるな』という気持ちにもなりました」と手応えを実感。日本一を目指す上で、Bチームの優勝もいい刺激になった。「ゲームで勝たないと。勝つためのテクニックが必要になる」と指揮官。来年度の全日本インカレで日本一を勝ち取るため、全部員で切磋琢磨(せっさたくま)する。