女子100メートル平泳ぎで青木玲緒樹(28=ミズノ)が、2大会連続4度目の優勝を飾った。昨年の世界選手権の金メダルタイムを100分の4秒上回る1分5秒89をマークし、派遣標準記録の1分6秒79を突破。4大会連続の世界選手権(7月、福岡)代表に内定した。
100メートルを泳ぎ切った青木は、電光掲示板に表示されたタイムを見ると、力強く左手を突き上げた。1年ぶりに1分5秒台をマーク。「練習の泳ぎや記録からすれば、決勝では良い泳ぎができたのかな」。自然と笑みがこぼれた。
レース後は5日前のことを思い返していた。声のトーンを落とし「テレビの取材では言いにくかったんですけど、5日前にめちゃめちゃ先生に怒られて」と切り出した。スタートや足を引くタイミングが合わず、タイムが伸びない。北島、萩野らを指導した平井伯昌コーチから「調子が上がってないのはお前だけだ!」とハッパをかけられ、涙があふれた。「大号泣して。泣きながら荷物をまとめて、帰ろうかと思った」。それほどまで追い込まれた。
そこで投げ出さなかったのは、自分をコントロールできる強さを身に付けていたからだ。昨年9月から1カ月弱、英国への単身留学を敢行。自分と向き合う時間が増え、視野が広くなった。「1人で行ったことで、物事を考えるようになった。今回も自分で考えたり、行動できたりした部分が多くなった」。今回のピンチにも「気持ちや泳ぎをコントロールして、周りの方を頼ったりした」と、動じずに対処できた。
その冷静さが試合で生きた。前半50メートルは水を18回かくプランだったが、ターン時のタッチが合わず、19回になった。そこでも心の中で「想定内」と唱えた。30秒台で後半へ入り、ぐんぐん差を広げてみせた。「5日後に笑える結果になってよかった」とほほえんだ。
これで4大会連続の世界選手権代表が内定。前回王者のタイムを0秒04上回ったが、慢心はない。「これでは戦えない。もうちょっと記録を上げないと」。5位に終わった1年前の雪辱へ。次こそは世界の頂点を極め、思いきり笑うつもりだ。【藤塚大輔】
◆青木玲緒樹(あおき・れおな)1995年(平7)2月24日、東京都生まれ。3歳で水泳を始めて、小3で東京スイミングセンターに入る。武蔵野高、東洋大、ミキハウスを経て、ミズノに所属。21年東京五輪代表。100メートルの自己記録は昨年マークした日本記録の1分5秒19。50メートル平泳ぎの30秒27も日本記録。家族は両親と弟。168センチ。


