レギュラーシーズン4位のENEOSが、4年ぶり23度目の優勝を遂げた。1勝1敗のタイで迎えた最終戦で、同2位で3連覇を狙ったトヨタ自動車を、再延長戦の末に72-64で破った。昨年12月に決勝が行われた皇后杯と合わせて今季2冠を達成。18-19年シーズンに11連覇を達成した名門が再び女王の座に返り咲いた。MVPにはエース渡嘉敷来夢(31)が選ばれた。

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1度目の延長では決着が付かず、再延長にもつれ込む大熱戦。死闘を制したENEOSが4年ぶりの戴冠を果たした。エースで主将の渡嘉敷は「優勝して泣くキャラじゃないんですが、涙が止まらない」と感慨に浸った。

再延長の残り1分51秒、宮崎からのパスを左サイドで受けた林が得意の3点シュートを決めた。約30秒後には速攻から宮崎の2点シュートで加点。最後までENEOSらしい走るバスケを貫いた。そんなチームの柱となって、渡嘉敷は奮闘。いずれもチーム最多となる20得点、13リバウンドの“ダブルダブル”をマークした。残り46秒では相手シュートをブロックし、「あれで勝ちを確信した」と胸を張った。

リーグ最多の優勝回数を誇るが、昨季は決勝進出さえ逃した。今季主将に就任するも、チームは開幕から波に乗れず、レギュラーシーズン4位。苦しい戦いを強いられた。「今までファイナルを戦って当然みたいな雰囲気だったが、今回はそうじゃない立場」と挑戦者として戦った。

決勝を前に「伝統のあるENEOSは(皇后杯を)1つ勝っただけでは、あまり優勝って思ってもらえない。2冠で初めておめでとうという雰囲気になる」と漏らした。2つのタイトルを手にし、「ENEOSグループの皆さんも、やっと優勝を認めてくれるんじゃないかと思う」と笑った。【奥岡幹浩】