体操男子の16年リオデジャネイロ五輪団体総合金メダリストで34歳の山室光史が11日、引退セレモニーに臨んだ。全日本種目別選手権の会場で行われた式に、スーツ姿で登場した。

「本当に困難やけがが多く、大変だったな、っていうのが正直な感想ですが、オリンピックに2度出場して、ま、悔しい1回目の銀メダル、そして2回目のうれしい金メダルと、本当に山あり谷ありの人生だったな、っていうのはあります」と回顧。「この年齢まで体操を続けることができたというのは本当に幸せだなと思っています。家族をはじめ、指導者、スタッフ、そして仲間、そして多くのファンの方々の支えや助け、応援していただけたからこそ、ここまで頑張ることができたと思っています。本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。

式の冒頭には、同学年で盟友の内村航平さんがVTRで登場。「出会って今年で18年目になります。プライベートでも体操生活でも、たくさんの思い出があります」とし、共に金メダルをつかんだリオを「一生の思い出」と振り返った。

山室は1989年(平元)1月17日、茨城県生まれ。テレビで体操を見たことがきっかけで小学2年から競技を始めた。埼玉栄高3年時の全国高校総体で内村さんを抑えて個人総合優勝も飾った。

初の五輪は12年ロンドン大会。団体決勝の跳馬、着地失敗で左足甲を剥離骨折し、後の演技はできず、個人総合決勝も棄権する悔しい思いをした。「せっかく出たのに…。何が何でもリオに出て、五輪をいい思い出にしたい」。その思いで挑んだ16年リオデジャネイロ大会では、内村らと3大会ぶりの団体総合での金メダルに貢献した。

その後は右上腕二頭筋断裂の重傷などのケガなども乗り越えてきた。今後は田中クラブで指導や普及に尽力する。「これから先はまた違った形として、体操の魅力や楽しさを、より多くの皆さまに伝えるような活動ができるように頑張っていきたいと思いますので、今後とも応援よろしくお願いします」と晴れやかな表情で語った。