【バンクーバー(カナダ)=阿部健吾】ショートプログラム(SP)3位の松生理乃(19=中京大)は、フリー132・33点、合計198・62点で3位だった。

中盤の3回転ルッツ-3回転トーループ-2回転トーループの3連続ジャンプなど、全てのジャンプを決めきった。渾身(こんしん)の演技に、演技後は左手でガッツポーズを作り、満面の笑みをはじけさせた。「ショートが終わって『表彰台に乗れるかもしれない』って欲が出てしまった部分があった。でも、直前に切り替えて、自分が今できることをやるだけっていうのを思ってやった」と、満足げに振り返った。

当初は出場予定がなかったGPシリーズ。棄権者が出た関係で巡ってきた舞台だった。「今の自分ができる精いっぱいのものが出せた。ショートよりも悔しい部分は少ないし、なんかもうすごい達成感でいっぱいです」とかみしめた。

2季前はけがの影響で満足な結果を残せず、昨年は第1戦スケートアメリカはフリーの前に体調不良で棄権していた。「失敗したから悔しいとかじゃなくて、挑戦することもできないもどかしさとかがあって、本当に辛かった」。今度こそと誓ったSPは、ジャンプにわずかなミスはあったが、伸び伸びと、後半には自然に笑みが浮かぶ滑りで自己記録に肉薄する得点をマークした。「思ってもみなかった」というSP3位を喜び、フリーでも自分の滑りを存分に披露。悲願の表彰台入りを果たした。

「今大会では良いところを皆さんに披露できた。見てもらえて本当にうれしい。うまくいかなかった時期でも腐らずに乗り越えて、練習を積み重ねてこれたことが一番の要因かな」。フリー「ネッラ・ファンタジア」のテーマは「幸せや平和」。これからも、世界中に笑顔の花を咲かせていく。