【重慶(中国)=松本航】今季ショートプログラム(SP)世界最高得点で首位発進した宇野昌磨(25=トヨタ自動車)がフリー2位の174・73点となり、合計279・98点で2位となった。

SP2位発進から男子歴代4位となるフリー207・17点をマークしたアダム・シァオイムファ(フランス)が合計298・38点で逆転Vを飾った。その中で宇野は自らの演技に「ほんとに素晴らしいものだった。ここ数年間、ジャンプ以外のところに気持ちを入れて演技することがなかなかなかった。今回もまだまだ姿勢が高かったり、もっとスピードを出したいといった課題も見つかったりしたので、日々へ向けて練習していきたい」とうなずいた。

世界選手権2連覇王者は最終滑走で登場。冒頭の4回転ループで転倒し、2本目の4回転フリップも2回転となったが、中盤から立て直す。3本目のトリプルアクセル(3回転半)を決めると、続く3回転半-2回転半の連続ジャンプも成功。6本目では4回転-3回転の連続トーループで2・85点の加点を導いた。

今季はアイスショーなどで表現面の取り組みを最優先としてきた。コロナ禍だった20年を除いて“自己最遅”で迎えた中「自分がもう1度見たいと思う演技」をキーワードに掲げ、表現力に磨きをかけてきた。SP後にはこう言い切っていた。

「全然スピードもないけれど、表現をやろうとしたところは自分を褒めたい。ジャンプが良かったらいい演技、悪かったら悪い演技というのを、自分に対する採点でやめたい。今日はまずまずだったと思います」

目指すのは理想の表現者。結果への欲は薄まり、競技会の場でもジャンプ以外の質を自らに求める。

次戦は第6戦NHK杯(24~26日、大阪・東和薬品ラクタブドーム)。今度は日本のファンを前に、新たなスケーター像を示す。

日本の友野一希(25=上野芝スケートクラブ)は251・95点で4位。10月の同シリーズスケートカナダを制した山本草太(23=中京大)は245・58点で6位となった。