明大が100周年を迎えた「早明戦」を制し、6勝1敗の2位となった。

早大を58-38で退け、定期戦通算成績は42勝55敗2分け。前半の4トライ中3本をFW第1列が挙げ、創部100周年の伝統校に受け継がれる「前へ」の精神を体現した。

後半27分以降に5トライを返した早大は、5勝2敗の3位。明大は5大会ぶり、早大は4大会ぶりの日本一を目指し、全国大学選手権に臨む。

   ◇   ◇   ◇

開始4分。明大の選択に3万人超の観衆が沸いた。中央でのペナルティーでPGによる3点を狙わず、ラインアウトを選択。ゲーム主将のロック山本は「まずはFWで前に出る。明治全体の自信につながる」。紫紺のジャージーを着たFWがモールを押し、防御が薄くなった狭いサイドにフッカー松下が飛び込んだ。23分にもモールからトライ。39分にはプロップ為房がラック際を突いて加点した。

早慶とともにラグビー界をけん引してきた明大も、創部100年を迎えた。7月には記念式典も開催され、部員は歴史の重みをかみしめる。「前へ」「重戦車」…。伝統を象徴する言葉通りの戦いぶりで、計9トライを重ねた。OBの神鳥裕之監督(49)は「過度なプレッシャーに感じてほしくないと思う半面、人生においても、こんな経験はなかなかない。ポジティブに、またとない時間を感じてほしい」と教え子を思う。

この日のテーマは「オールアウト」。前半から出し尽くし、足が止まった終盤は38点差から一時8点差まで迫られた。それでもそこから2トライ1ゴール。山本は「流れを断ち切れたのは成長につながる。もう1度修正して(大学)選手権で優勝できるように臨みたい」と力を込めた。特別な期待を背負う男たちは、前進をやめない。【松本航】

○…早大はボール争奪戦で後手に回った。自陣に押し込まれた前半の得点はCTB野中の1PGのみ。大田尾監督が「一番恐れていたシナリオになった」と振り返った接点が起こるエリアのスペースの取り合いで劣勢を強いられた。それでも後半27分からはBK陣や3年生フッカー佐藤らの防御ライン突破が目立ち始め、立て続けに5トライ。見せ場を作った。主将のFB伊藤は「1年間やってきたことを、ぶらさずに信じたい」と全国大学選手権を見据えた。

 

◆展望 対抗戦の全日程が終了し、11月19日に開幕した全国大学選手権の3回戦以降の組み合わせが確定した。優勝候補筆頭は3連覇が懸かる帝京大(関東対抗戦1位)。強力FWが健在で大崩れせず、日本一を知るメンバーも数多く残る。追うのは明大(同2位)早大(同3位)東海大(関東リーグ戦1位)と、前回4強の京産大(関西1位)、天理大(同2位)の5チーム。来年1月2日の準決勝を懸けた23日の準々決勝で、今季の東西の力量差が測れそうだ。早大と明大が互いに勝ち上がった場合、その準決勝で再戦する。