【モントリオール=阿部健吾】ペアで昨年初優勝の三浦璃来(22)、木原龍一(31)組(木下グループ)は合計217・88点で銀メダルとなった。

ショートプログラム(SP)2位で迎えたフリーは自己記録の144・35点で1位も、優勝したディアナ・ステラートデュデク、マキシム・デシャン組(カナダ)に届かなかった。過呼吸で表彰式を急きょ欠席した木原は、腰痛を抱えた苦難のシーズン。2人で乗り越え、3年連続でメダルを獲得した。男子SPは3連覇がかかる宇野昌磨(トヨタ自動車)が今季世界最高の107・72点で首位。鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)が2位、三浦佳生(オリエンタルバイオ・目黒日大高)は10位と出遅れた。

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表彰式が始まった会場にアナウンスが響く。三浦と木原の銀メダルをたたえる紹介に、大声援が重なる。ただ、2人は姿を現すことができなかった。直前に木原が過呼吸症状になり、会話ができず、ふらついた。歓喜のメダル授与はかなわず、不在で式は進んだ。

その後の会見に代理で出席したマルコット・コーチは「龍一と璃来とハッピーな感情を分かち合っていましたが、感情的になっていたこともありますが、龍一がいきなりせきをし始めた」と説明。快方に向かっていること、式に参加できない無念さ、優勝組を直接祝えない悔しさを感じていたと代わって伝えた。三浦は木原に寄り添い「2人で1つだから」と1人での参加を丁重に辞退したという。

ずっと2人で苦難を越えてきた。昨秋に木原が腰椎分離症を発症。リハビリを頑張る横で、あえて三浦もトレーニングした。「2人同時に強くなれ」。周囲にそう諭された。片方が引っ張るのではない。ともに強くなれば、もっと力を得られる。2人で1つとなって、決戦の舞台を目指した。

2季前の演目「Woman」に戻す決断をして迎えたフリー。並んでのジャンプで三浦の3回転サルコーが2回転になるミスはあったが、それ以上に力を感じさせた。リフトや共鳴するステップ。呼吸まで合わせるような一体感に客席は総立ちとなった。フリーの自己記録を塗り替えたことが、強くなった証しだった。

拠点とし、大好きというカナダで過ごして5年目。第2の故郷で、2人で、大きなメダルを手にした。