12年ロンドン五輪(オリンピック)競泳男子200メートル背泳ぎと400メートルメドレーリレーで銀メダル、100メートル背泳ぎで銅メダルを獲得した入江陵介(34=イトマン東進)が3日、現役引退を発表した。08年北京大会から21年東京大会まで、五輪4大会連続出場。競泳界をけん引した功労者の競技人生を振り返る。

◆08年北京五輪 春に近大へ入学した1年生。200メートル背泳ぎ決勝は世界新記録で金メダルのロクテ、銀メダルのピアソル(ともに米国)らと泳ぎ、5位入賞。五輪初出場だった00年シドニー大会の北島康介と重ね、4年後を見据えて「康介さんも最初は(100メートル平泳ぎで)4位。同じストーリーを描いていきたい」

◆09年日本新記録 現在も日本記録として残る100メートル(52秒24)、200メートル(1分52秒51)をマーク。100メートルは9月の日本学生選手権で記録。古賀淳也(早大)の52秒26を上回った。200メートルは7月の世界選手権(ローマ)で記録。従来の世界記録1分53秒08を上回って銀メダルを獲得したが、世界新記録1分51秒92を樹立したピアソル(米国)に屈した。コースロープにもたれながら「自己ベストはうれしいけど、やっぱり一枚上手がいた」

◆12年ロンドン五輪 100メートル背泳ぎは52秒97で銅メダルをつかみ「『自分はできる。やるんだ、やるんだ』と言い聞かせた。そこが、最後にタッチ差で勝てたところ」。200メートルはロクテ(米国)を破り、1分53秒78での銀メダルに「1という文字を見たかった。すごく残念。今できる100%のレースはできました。悔しい思いはすごくあるけど、出し切った中での2位です」。男子400メートルメドレーリレーでも北島康介らと銀メダルを手にした。

◆16年リオデジャネイロ五輪 2大会連続のメダル獲得はならず。200メートル背泳ぎ決勝で最下位の8位。ロンドンからの4年間を振り返り「選手として賞味期限切れかなと感じることが多かった」

◆21年東京五輪 競泳の主将を務めた。200メートル背泳ぎは1分57秒32の7位で「順位も何もないというか、メダルも惜しくないし。ただ08年北京五輪から4大会連続で決勝に立った。自分を責めちゃいけないと思っています」

◆24年パリ五輪代表選考会 100メートル背泳ぎで優勝を逃し、個人、400メートルメドレーリレー代表入りを逃す。200メートルも3位にとどまり、進退については明言を避けた上で「やれることはやった。最後は自分をほめてあげたい」