19歳の宮田笙子(順大)が合計109・798点で初優勝した。4種目合計は54・832点で、11日の予選に続いてトップ。

エースの証明を果たし、パリ五輪へ大前進した。16歳の岸里奈(戸田市SC)が2位、15歳の中村遥香(なんばク)が3位。五輪代表は5枠。全日本の得点を持ち点に争う5月のNHK杯(高崎アリーナ)で個人総合の上位4人とチーム貢献度で1人が選ばれる。

宮田はエースの宿命をかみしめた。大舞台での予選首位通過は初めて。自動的に、決勝では最終演技の床運動で最終演技者となる。「やっぱり緊張するな」。他選手が全ての演技を終え、会場の全ての視線を受けながら、演技に入る。女子でエースと呼ばれた先輩らも同じ景色をみてきた。

「出しきればいい」。念じて動きだし、F難度の後方伸身2回宙返りを決めると、表情まで意識して通しきった。自覚と安堵(あんど)。緊張から解放されると、柔らかな顔つきで、両手を掲げ、勝利を確信するガッツポーズをみせた。

「周りがみて代表にふさわしいと思ってもらえる演技を」。その目標には、仲間への思いも込められていた。「ケガでここに立てなかった選手たちがすごく多くて」。同期で22年大会覇者の笠原らが、パリは断念しながら前向きに練習する姿に「思いを背負ってパリを目指したい」と奮い立った。かなわなかった者のために戦う事。それもエースの資質だ。【阿部健吾】

◆パリへの道 男女とも出場枠は5人。男子は昨秋の世界選手権で個人総合2連覇の橋本が既に決定し、NHK杯で上位2人を選出。残り2人はチーム貢献度で決まる。女子はNHK杯の上位4人とチーム貢献度で1人が代表入りする。貢献度は種目別のスペシャリストが有利。個人総合選出の選手とチームを組んだ場合に団体総合の得点が最も高くなる選手を選び、男子の1人はNHK杯10位以内。