スピードスケートの元五輪代表、白幡圭史氏(34=スポーツ振興財団)が、日本オリンピック委員会の海外研修員として、6月から1年間、スケート王国オランダに留学する。期間中は同国のナショナルチームに帯同。選手の育成法から調整理論など、多岐にわたり学ぶ。31日の出発を前に「低迷する日本のスケート界の復活に少しでも協力したい。世界一の指導のノウハウを身につけたい」と意気込みを口にした。

 日本のスピードスケートは06年トリノでメダルなしに終わり、84年サラエボから続いてきた五輪のメダル獲得を逃した。白幡氏は現役時代、ソルトレークシティー五輪1万メートル4位や95、97年の世界選手権総合2位など輝かしい成績を残した。当時は先輩に青柳徹氏(現日本スケート連盟強化副部長)やアルベールビル五輪銅の橋本聖子氏、後輩には長野五輪金の清水宏保ら、そうそうたるメンバーが世界トップで戦っていた。「あの黄金期をもう1度取り戻したい。10年バンクーバー五輪につなげるためにも今しかない」とオランダ行きを決断した。

 1年間、オランダのナショナルチームに帯同。スタッフ、コーチミーティングに参加し、W杯も転戦する。地域クラブの視察も行い、ジュニア育成の現場にも足を運ぶ。選手時代に単身オランダ留学した経験があるが、今度はコーチとして過去五輪で26個の金メダルを獲得する同国の強さの秘密を探る。「オランダは主要大会にしっかりピークを合わせる。技術もそうだが、年間のスケジュール、調整の仕方。コーチと選手間のコミュニケーションスキルを学びたい」と意欲をみせた。

 吸収したものは日本のために余すところなく注ぐ。「自分が身につけたものをしっかり伝えたい。五輪で速い選手ではなく、強い選手を育てたい」と意を強くした。【松末守司】