北京五輪陸上1万メートル代表の赤羽有紀子(28=ホクレン)がフルマラソンで12年ロンドン五輪を目指すことが10日、分かった。デビュー戦として照準を定めているのは、来年1月の大阪国際か3月の名古屋国際。今後の調整状況を見極め、いずれかを選択する。

 赤羽は以前からマラソンへの意欲を示していたが、北京五輪での経験が意識を変えた。北京では1万メートルで20位、5000メートルは予選落ちと振るわなかった。7月下旬に体調を崩したことが原因の1つだが、それ以上にトップクラスとの実力差を痛感。赤羽は「今後はマラソンで世界の舞台を目指そう」と、世界と戦うには持ち前のスピードを生かせるマラソンが最適と判断した。

 意識だけではなく、調整もマラソンへシフトしている。五輪後はジョギング程度の軽い練習を続けているが、9月15日から長野・菅平で本格的なマラソン練習に突入。その後、10月12日にブラジル・リオデジャネイロで開催される世界ハーフマラソンに出場する。アテネ五輪金メダリストの野口みずきも99年の世界ハーフで2位に入り、そこからマラソンへ移行した。同様に赤羽にとってもフルマラソンへ挑戦するための格好のステップレースとなりそうだ。

 赤羽が初挑戦に考えている大阪国際、名古屋国際は09年8月の世界選手権(ドイツ・ベルリン)の代表選考会。日本人トップとなれば、自動的に代表に内定する。ホクレンの森田修一監督(43)は「初めてのフルマラソンですので、しっかりと最後まで走るのが目標。記録や順位はともかく、マラソンとはどんなものか、経験するのが一番の目的」と慎重だ。しかし、上位に食い込めば、1万メートルでの実績からロンドンの有力候補に躍り出ることは間違いない。