ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会(9月20日開幕)の日本代表が29日、発表され、神戸製鋼からFB山中亮平(31)WTBアタアタ・モエアキオラ(23)CTBラファエレ・ティモシー(27)プロップ中島イシレリ(29)の4選手が選出。山中とモエアキオラが神戸市の同社で会見を行った。

山中は三度目の正直を素直に喜んだ。「ラグビーを続けられたのは、平尾さんと神戸製鋼のおかげ。感謝しかないです」-。

11年大会を前に育毛剤に禁止薬物が含まれていると発覚し、2年間の出場停止処分を受けた。ラグビー人生の危機に、16年10月に他界した同社ラグビー部GMの平尾誠二さんが「会社に残って、部に戻れ」と声をかけてくれた。

総務部で電話対応、雑務と社会人の基礎を学んだ。「ちやほやされていた自分が変わりました」という。

15年大会は土壇場で落選。今回は「ラストチャンス」だった。昨年4月に「W杯」へのシナリオを“逆算”で携帯電話のメモに書き込んだ。

「秋に代表入り」←「トップリーグで活躍する」←「レギュラーを取る」

同7月に慣れ親しんだSOから未経験のFBへのコンバートを打診されると「試合に出られるなら」と即諾。オールブラックスのベン・スミスの動画を見て、同僚、後輩の助言を聞いた。「高校生に戻ったような」態度で、突っ走ってきた。

「僕の目標はW杯メンバーになることでなく、試合に出て、結果を残すこと」。天国の平尾さんへ、この日、会見に約200人も集まってくれた仲間がいる会社へ。フィールドで活躍し、感謝の気持ちを届けたい。