地力の差を見せつけられる試合の中で、唯一の日本のトライは光った。相手のパスミスを奪ってから松島につないだプレーが素晴らしかった。ラファエレが右手だけでボールに触れ、モエアキオラにパス。仮にキャッチしていたら、相手につかまっていた。守備から攻撃に転じた時の判断の早さ。この日のように守備が強固なチームからトライを奪うためには必須だし、日本の生命線でもある。

守備の練習、攻撃の練習は重ねられても、このような場面を想定しての練習は難しい。どうしても個人のスキル、センスに負う部分が大きくなる。そういう個を持った選手がいることは日本の強みでもある。

完敗の中でも1トライは挙げた。まったく戦えないわけではないことの証明でもある。あとは、本番までの修正力。課題は多くでたが、日本には修正する力がある。開幕まで2週間、ここで世界トップの真の実力を知れたことは、必ず生きてくる。(元日本代表)