<世界大学選手権:日本9-0韓国>◇7日◇3位決定戦◇神宮

 日本がハンカチ世代のネクストジェネレーションの活躍で、銅メダルを獲得した。3位決定戦で韓国に大勝。来秋ドラフトの目玉左腕、先発の東洋大・藤岡貴裕投手(3年=桐生一)が5回10奪三振、「ヨシノブ2世」4番慶大・伊藤隼太外野手(3年=中京大中京)が今大会3号となる先制2ランを放った。1大会3本塁打は04年の東洋大・大広翔治(現楽天)に並ぶ、日本人最多タイ。早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)は登板しなかった。

 準決勝で敗れた悲しみを吹き飛ばすように、伊藤の打球が右中間に伸びた。1回2死一塁、123キロの外角スライダーをすくい上げた。日本人歴代最多タイとなる大会第3号先制2ラン。4番として「自分のバッティングで先制点をとれてうれしい。フルスイングした結果」と喜んだ。援護を受けた藤岡は2回1死からの5者連続を含む10奪三振。「メダルが欲しかった」と勝利を呼び込んだ。

 勝って、笑って終わろうをテーマに戦った。榎本保監督(55=近大)は「金と同じと書いて『銅』。銅メダルを死守したかった」とかみしめた。試合前夜は宿舎でバーベキューを行い、最終戦へ気持ちを切り替えた。早大・斎藤は9点リードの9回に、ブルペンで全力投球を行った。榎本監督は「全員でいくと言ったら、しっかり準備してくれた」と、チーム一丸を象徴するシーンだった。

 準決勝の米国戦、満塁本塁打を浴びて敗れた斎藤は、ベンチ裏で号泣した。本気で世界一を目指した大学最後の夏。夢はかなわなかったが、志は次世代に受け継がれていく。【前田祐輔】