<東京6大学野球:東大4-2早大>◇第4週初日◇2日◇神宮

 リーグ通算30勝に王手をかけていた早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)が、25季連続最下位の東大に初めて負けた。1年春から今春まで7戦7勝だった相手に、7回5安打3四死球で3失点。通算14敗目(29勝)を喫した。早大が東大に敗れるのは05年秋の1回戦以来。

 歓喜の絶叫を決める東大ナインを見つめながら、斎藤は口を真一文字に結んで整列に向かった。東大は1年春の開幕戦で、新人80年ぶりの開幕戦勝利を挙げた相手。その後7連勝中だったお得意様に、7回3失点。試合後は早大側の意向で会見場には現れず、足早にバスへと向かった。応武篤良監督(52)は、早大広報部を通して「また明日頑張ります。帰ってこれから練習します」とだけコメントを残した。

 これも通算30勝という記録の重圧なのか。2回までは6人で仕留めたが、2点リードの3回に突如崩れる。先頭打者にストレートの四球を出すと、逆球や抜け球で首をかしげるシーンが目立つようになった。犠打後、左中間への打球を中堅手がグラブに当てながら捕球できず(記録は二塁打)。さらに2死一、二塁から140キロの外角直球を左前に運ばれて追い付かれた。この回、3アウトを奪うのに30球を投じた。

 試合前日は王手をかけた30勝について「確実に達成したい。優勝のために勝ちにこだわりたい」と誓っていた。自らと同じく1年生から先発マウンドに立つ東大・鈴木については「気を付けないといけない」と警戒していた。

 今秋ドラフトの目玉右腕と、現役合格した東大1年生の投げ合い。4回以降は我慢比べとなったが、先に崩れたのは斎藤だった。6回1死一、二塁から、一、二塁間を割られて勝ち越しを許した。打った東大・舘が「直球」というボールの球場表示は113キロだった。この日の最速は146キロ。計測ミスの可能性がある1球だが、失点の瞬間は天を仰いで、感情を表に出した。

 東大・御手洗健治監督(60)は「最近はあまり良くない。ボールが先行して、低めのワンバウンドもあった」と言った。35連敗中だった東大とはいえ、かつては法大時代の怪物江川氏も敗れたことがある。これも大学野球。3日の2回戦に勝利すれば、3回戦でリベンジのチャンスが回ってくる。【前田祐輔】