阪神がヤクルト相手に甲子園で3連勝を飾り、貯金を今季最多タイの3に戻した。近鉄、日本ハムの指揮官として2度のリーグ優勝を導いた日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏(65)は、低めの投球で6回を無失点に抑えた先発高橋遥人投手(23)の投球を絶賛した。

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-最後はヤクルトから崩れたが、そこまでの阪神の粘りが実った3連勝だった。

梨田 対ヤクルト3連戦は相手のミスに乗じながら、阪神がその流れをモノにした。運も味方にした内容だが、それもシーズンを乗り切る上では大切なことだ。いずれも接戦で最後は阪神の執念だったといえる。また、チームが耐えながらつかんだ勝ちの中、高橋遥の好投は見逃せない。しかも5回までフライのない非常に珍しい内容だった。

-先発高橋遥が6回を4安打無失点。5回まで打者19人に対したが、1度も飛球がなかった。打球が上がったのは、6回1死からライナー性の中前打になった打者21人目の青木が初めてだった。

梨田 低めにボールが集まっていたということだろうが、特にスライダーが微妙に揺れていた。打者の手元で強いストレートがくるのも特長で、初速、終速の差がない証拠だ。6回に青木、バレンティンに連打を食らって、1死一、三塁になった場面が最大のピンチだが、5番雄平を一ゴロに打ち取って、得点を許さなかった。あそこは内に入ってしまった究極の逆球が、幸いした。

-そして、7回は藤川でつなぎ、8、9回は3連投になったジョンソン、ドリスの勝ちパターンで締めた。

梨田 連投になった藤川のボールは正直いって悲鳴を上げていた。0-0でもジョンソン、ドリスとつぎ込んでいったのは、24日のDeNA戦の先発西が、ある程度の長いイニングを投げてくれるという計算もあってのことだと思う。リリーフについては、ここから1シーズンを乗り切るのに、うまく起用法を考えていく必要性に迫られるはずだ。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

阪神対ヤクルト 阪神先発の高橋遥(撮影・上田博志)
阪神対ヤクルト 阪神先発の高橋遥(撮影・上田博志)