圧倒的に押していたのは巨人だが、勝利を収めたのは阪神だった。これで今シーズンの「伝統の一戦」は2勝2敗1分けのタイに持ち込まれた。

梨田 なんとも言いようのない一戦だったね。阪神が打ち勝ったかといえばそうではないし、勝ちきった、ねじ伏せたという印象も薄い。ピンチをしのいで、しのいで、超ラッキーな、いいゲームだったということだろう。チームにとって“勝ちは良薬”には違いなかった。

先発伊藤将はいつ点をとられてもおかしくない状態だった。2回無死三塁からは岸田を空振り三振、吉川尚の二ゴロで本塁憤死、赤星を二ゴロに打ち取った。4回無死満塁の最大のピンチも結果は「0点」。6回を6安打無失点で2勝目が転がり込んだ。

梨田 2回は岸田がゴロを転がせば1点の場面だった。阪神は続く吉川尚を迎えて前進守備を敷く。一方巨人は次打者が投手赤星ということもあって「ゴロゴー」を指示するが、吉川尚の二ゴロで三塁走者・丸のスタートが遅れて均衡を破れなかった。伊藤将の方は、3回に味方が2点リードした次の4回に先頭坂本に四球を許し、自らピンチを招くことにつながった。打たれた6本のヒットがすべて左打者だったのも今後の課題で、ここから暑くなるから、ブルペンのことを考えれば、球数を減らしていくことも考えてほしい。

それにしても阪神が2死からの3連打だけで勝った不思議な展開だ。チーム3連打は4月6日ヤクルト戦(神宮)以来、9試合ぶり。8、9回は岩崎、ゲラで逃げ切った。

梨田 阪神にとってはあす(18日)の勝率5割がかかったカード3戦目は非常に大事な試合になる。菅野をいかに打つか。しばらく岩崎、ゲラの順番でいくのだろう。本人のコンディションを見ながらだが、あしたは展開次第で、3連投も辞さない構えで突っ込んでいくべきではないだろうか。

【取材・構成=寺尾博和】

阪神対巨人 トラッキーと記念撮影をする伊藤将(左)と森下(撮影・上田博志)
阪神対巨人 トラッキーと記念撮影をする伊藤将(左)と森下(撮影・上田博志)