阪神の17年ドラフトに、金本監督が描くビジョンが見えた。ドラフト3位熊谷、4位島田と俊足の選手を指名。振り返って、こう話していた。「うちは足の速い選手が少ないから。広島、ソフトバンク、日本ハムにしても、強いチームは、足の速い選手を取って、打てるようにしている。いい所はパクリましょうと編成と話して、そういうドラフトになった」。阪神流にこだわらず、他球団の良いところは貪欲に取り入れる考えだった。

 過去2年は高山、大山と打てる選手を1位指名した。今年もクジを外したが、清宮、安田とスラッガーを狙った。通算476本塁打を誇る大打者であるが、長距離砲に固執するのかと思いきや、そうではなかった。

 「つなぐバッター、四球を取るバッター、転がせるバッター…、みんな、いる中での大砲ですよね」と金本監督は言う。走攻守全体のバランスを重要視している。それが色濃く出たドラフト中位の指名だった。金本監督自身も単なるホームランバッターではなく、トリプルスリー達成者だ。広島に負けない、躍動感のあるチーム作りを目指している。【阪神担当=田口真一郎】