ソフトバンク本多雄一内野手(33)が今季限りで引退する。13年間ホークス一筋の名二塁手。球団も功労者でファンの人気も絶大な本多のために本拠地ヤフオクドームでの最終戦となる6日西武戦で引退試合とセレモニーを行うと発表した。

「本多選手は早打ちなので心配です。最後の打席は、じっくりいってほしいですね」。右翼席でトランペットを演奏する九州鷹狂会代表の吉原秀貴さん(38)は笑いながらも本気で心配していた。自己ベストの打率3割5厘をマークした11年でも、522打数のうち2球目までに打ったのが201打数で38・5%、3球目までだと311打数で59・6%にもなる。

現在のホークス選手ではただひとり、応援歌に前奏がある。「闘志たぎらせ~戦~う戦士~」。福岡移転後は小久保氏、柴原氏くらいしか前奏はない。なぜ、本多についたのかを吉原さんに聞くと「当時、各球団の1番打者に前奏をつけることが流行っていたんです。本多選手にははじめはついていなかったんですが、1番に定着したころからつきましたね」と教えてくれた。

福岡県・大野城市出身で地元でファンからの人気は今も絶大だ。ネット裏でも外野席から前奏が聞こえると両手を高く挙げるファンが数多くいる。出場機会が減ったここ数年も、本多の登場曲ドリームズ・カム・トゥルーの「何度でも」がかかると、ヤフオクドームは揺れるほどの大歓声となる。本多も「もちろん感じていますよ。こんな僕を応援し続けてくれて。本当にありがたい」と話す。引退試合での最後の打席はファンの盛り上がり、応援歌にも注目しながら最後の姿を目に焼き付けたい。【ソフトバンク担当=石橋隆雄】