中日松葉貴大投手(33)が10日のDeNA戦(横浜)でチームを21年以来、3年ぶりの5連勝に導いた。今季初登板の左腕は、序盤からの打線の援護もあり、6回途中2安打1失点。中日への移籍以来、4戦4敗だった鬼門横浜スタジアムでの初白星でもあり、ヒーローインタビューでは最高の笑顔を振りまいた。

8日のナゴヤ球場で1軍投手練習に初合流した松葉の表情は、試合後の笑顔とは正反対だった。「もしかしたら、この1回のチャンスで今年が終わってしまう可能性もある。何度も何度もチャンスっていうのはない。不安の方が大きい」と、正直な気持ちを口にしていた。2軍キャンプでスタート。オープン戦でも1軍登板はなかった。ウエスタン・リーグでは3試合登板し、防御率0・56。2勝はいずれも7回を投げた。「2軍でどれだけ結果を出しても、1軍に上がったら別もの。1軍で抑えないと、不安が解消されることはない」。12年目、今年34歳を迎える左腕にとって、最高のスタートになった。

昨季までは「ドーム限定5回まで」の制限もあったが、今季1勝は屋外。大塚投手コーチも「リミッターは外す。行けるところまで」と、松葉の限定解除を公言する。松葉自身もヒーローインタビューで「今季の目標は完投。必ず1軍で完投したい」と公約した。

21年9月14日、広島戦(バンテリンドーム)で5連勝目をけん引したのも6回1失点好投の松葉だった。松葉の完投は、オリックス時代の16年7月29日、西武戦ただ1試合。“持っている”左腕が、8年ぶりの勲章を手にする可能性は十分だ。【中日担当=伊東大介】