センバツ出場校を決める選考委員会が今週(1月29日)に迫った。今年も独断と偏見で出場32校を予想してみたい。

 今年は例年以上に予想が難しかった。すんなり決まりそうなのは北海道、東海、九州くらい。ちなみに12年以降の予想は、12年=3校外れ、13年=2校外れ、14年=1校外れ、15年=2校外れ。

 まずは21世紀枠から。

 【21世紀枠=3校】

 釜石(岩手)小豆島(香川)八重山(沖縄)の3校を予想。

 釜石の地元釜石市は東日本大震災で死者991人、行方不明者152人、住居の全壊半壊が計3656件と甚大な被害を受けた。野球部員の家庭でも被害が多く、自宅の全半壊が9人、親族が亡くなったか行方が分からない部員が3人。現在も仮設住宅での生活を余儀なくされている者もいるという。野球部の練習場所は震災前後で変化はなかったが、サッカー場やラグビー場に仮設住宅が建てられたため現在は野球部も含め6つの運動部がグラウンドを共有しているという。また同校は文武両道の進学校のため練習時間は平日で2時間半程度。創意工夫した練習で、昨秋県大会では準優勝の好成績。地元復興の希望となっている。東北大会では初戦で東北(宮城)に2-3で惜敗したものの実力も十分とみた。

 小豆島は小説「二十四の瞳」で有名な小豆島に学校があり、過疎と少子化のなかで困難を克服し地域に密着した活動を実践。昨秋県大会で明治神宮大会優勝の高松商を破って初優勝した。2017年春に土庄との統合を控える中、離島のハンディを乗り越え、島民に夢と感動を与えた。部員17人全員が島内出身。実力、話題性も申し分なく小豆島から初めて甲子園出場を果たすとみた。

 八重山は石垣市にあり、離島のハンディを克服し、昨秋県大会優勝、九州大会でも1勝し8強入りした。沖縄本島からは400キロ離れており、7年前から本島への移動手段は航空機のみとなり移動の費用負担が増した。春夏秋の県大会などに参加するためには1人約30万円が必要に。このため年末年始はガソリンスタンドやホームセンターなどでアルバイトし保護者の負担を減らそうと努力しているという。離島のハンディの克服、そして何よりも沖縄大会決勝で強敵の興南を破り優勝、九州大会でも8強という実力を買った。

 この3校のほかに気になるのが長野。1899年(明32)に長野中として開校した県立校で、文部科学省のスパーグローバルハイスクール指定。今回候補校9校の中でもトップクラスの進学校で、昨年度は国公立大に130人が合格。さらに野球班員(部員)も1年間浪人の末4人が東大を受験し見事全員が合格したという。うち1人は東大野球部に入部し秋のリーグ戦登板も果たした。ちなみにテレビ番組などでおなじみの北村晴男弁護士(58)も同校野球部OBである。

 逆転があるとすればこの長野か。宇治山田(三重)、長田(兵庫)も文武両道の進学校だが、三重、兵庫ともに一般枠で出場校が出ることが確実。地域性を考えると今回は厳しいとみた。

<21世紀枠候補9校>

北海道=札幌清田

東 北=釜石(岩手)

関 東=上尾(埼玉)

北信越=長野(長野)

東 海=宇治山田(三重)

近 畿=長田(兵庫)

中 国=出雲(島根)

四 国=小豆島(香川)

九 州=八重山(沖縄)

【北海道=1校】

 秋の北海道大会で優勝した札幌第一の出場が確実。明治神宮大会では関東第一(東京)を破り8強入りした。準優勝は北海道栄。

【東北=2校】

 青森山田、八戸学院光星の青森勢2校のアベック出場を予想。

 東北大会優勝の青森山田は確実。残る1校だが、同じ青森で同準優勝の八戸学院光星を選んだ。過去の同様のケースでは青森から2校は選ばれなかった(96年東北大会=光星学院優勝、青森山田準優勝で光星だけ甲子園出場)。しかし今回、八戸学院光星は県大会で青森山田を準決勝で破って優勝しており、力的には甲乙つけがたい。東北大会で4強入りしたのは一関学院と盛岡大付の岩手勢。可能性があるとすれば準決勝で1-5で青森山田に敗れた盛岡大付だが、岩手からは21世紀枠で釜石が出場すると予想。それならば、青森から2校でいいかなと。00年に東北大会優勝の東北と同準優勝の仙台育英が宮城からアベック出場を果たした際も21世紀枠で安積(福島)が選ばれている。釜石が21世紀枠から漏れた場合は、盛岡大付にチャンスが出てきそうだが…。

【関東・東京=6校】

 木更津総合(千葉)常総学院(茨城)桐生第一(群馬)東海大甲府(山梨)花咲徳栄(埼玉)関東第一(東京)を予想。

 毎年予想が非常に難しい地区の一つ。関東大会4強以上と東京大会優勝の5校はすんなり予想できるが、残る1校が難しい。関東5番目か、それとも東京準優勝か。ちなみに昨年は東京準優勝の二松学舎大付が選ばれた。関東大会8強組から平塚学園(神奈川)が選ばれるとみた予想は見事に外れた。今回は昨年以上に難しい。というのも、東京準優勝の二松学舎大付も昨年のバッテリーが残り、都大会では清宮の早実や強豪日大三を破っている実力校。左腕エース大江は最速148キロをマークするなど注目の好投手でもある。一方、花咲徳栄も実力は十分。関東大会では準々決勝で優勝した木更津総合に1-2で惜敗した。昨夏甲子園で8強入りに貢献したプロ注目左腕・高橋昂也が健在。甲乙つけがたいが、昨年は東京から2校ということで、今回は関東5番目の出番とみて花咲徳栄とした。

【北信越=2校】

 敦賀気比(福井)佐久長聖(長野)を予想。

 敦賀気比は山崎颯一郎投手、林中勇輝遊撃手というプロ注目の2人を中心に実力十分。センバツ連覇を目指す。残る1校だが北信越大会準優勝の福井工大福井ではなく、地域性から佐久長聖を予想した。福井工大福井は県大会でも敦賀気比に敗れ準優勝。北信越大会でも失点の多さが気になった。一方の佐久長聖も県大会準優勝だが、北信越では準々決勝で新潟1位の日本文理を2-1で破るなど力はあるとみた。ただし、もし21世紀枠で長野が選ばれた場合は、敦賀気比、福井工大福井のアベック出場が有力となるだろう。

 【東海=2校】

 東邦(愛知)いなべ総合学園(三重)を予想。

 東邦はエース藤嶋が投打の中心でセンバツでも目玉選手の1人。いなべ総合は三重大会3位から東海大会準優勝。準決勝では三重1位の海星を2-1で破り、決勝では東邦に乱打戦の末9-10で敗れた。

 【近畿=6校】

 大阪桐蔭(大阪)滋賀学園(滋賀)龍谷大平安(京都)明石商、報徳学園(以上兵庫)智弁学園(奈良)を予想。

 近畿大会4強以上の大阪桐蔭(優勝)滋賀学園(準優勝)龍谷大平安、明石商(以上4強)は確実。残る2校だが市和歌山と阪南大高は準々決勝で大敗。そこで準々決勝で滋賀学園と接戦(0-1)を演じた報徳学園と、地域性から智弁学園とした。

 【中国・四国=6校】

 創志学園(岡山)南陽工(山口)如水館(広島)高松商(香川)明徳義塾(高知)済美(愛媛)を予想。

 ここが一番難しかった。明治神宮大会で高松商が優勝したことで出場枠(神宮枠)が1つ増えた。これで四国からは3校以上選ばれることが確実となった。問題は4校選出の可能性があるのかどうかだ。例年なら出場枠は5。5校目を中国4強と四国4強の比較で選出するのだが、今回は6。平等主義で考えるなら3校ずつの割り振りとなるが果たしてそれでいいのか。そんなことを考えていたら、21世紀枠で小豆島(香川)が選ばれると予想したことを思い出した。そうなると四国から5校、中国から2校ではあまりにもバランスが悪い。そこで一般枠は3校ずつとした。中国3校目は、準決勝で創志学園に0-5と完敗した開星(島根)を外し如水館とした。四国の3校目は土佐(高知)か済美で迷ったが、地域性と上甲監督の死去や不祥事からチームを立て直し4強入りした済美とした。

 【九州=4校】

 秀岳館(熊本)海星(長崎)日南学園(宮崎)鹿児島実(鹿児島)の4校を予想。

 地域も重なるところがなく、九州大会で4強以上となったこの4校ですんなり決まると予想した。