早実(西東京)清宮幸太郎内野手(1年)が甲子園切符をつかんだ。0-5の8回に8点を奪って大逆転。清宮も適時打を放った。6戦、全試合で安打を放ち20打数10安打10打点、7四死球、3三振。打率は5割。夏の公式戦初本塁打は甲子園で打つ。
- 甲子園出場を決め歓喜する早実・清宮(左)。右は服部(撮影・江口和貴)
決勝:早実8-6東海大菅生
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
早実 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 8 | 0 | 8 |
菅生 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 6 |
【早】松本、吉野、上條、服部
【東】勝俣、羽生、船木、勝俣
報道陣は39社238人、観衆は2万8000人
1階、2階席は満席。第2内野席(内野席と外野席の間)を開放、外野席も大部分が埋まる。父克幸氏は一塁側スタンドで観戦
【第1打席=一塁ライナー】
東海大菅生先発は右腕勝俣
◆1回2死走者なし カウント1-1からの3球目内角スライダーを捉えたが一塁ライナー
【第2打席】
東海大菅生投手は右腕勝俣
◆3回2死二塁 カウント1-2から4球目、二塁走者が三盗失敗。チェンジ
【第2打席=空振り三振】
東海大菅生投手は右腕勝俣
◆4回先頭打者 121キロ、ワンバウンドのフォークボール空振り三振
【第3打席=四球】
東海大菅生投手は右腕勝俣
◆6回2死走者なし フルカウントから115キロ高めカーブを見送り四球で出塁
4番加藤が安打でつなぎ一、三塁としたが後続なく無得点
【第4打席=二ゴロ】
東海大菅生投手は右腕勝俣
◆8回無死一、二塁 カウント2-2から119キロのカーブを打って二ゴロ。一塁走者二封。4番加藤は四球で満塁、5番、6番の連続適時打で2点返す。さらに内野ゴロ、適時内野安打で4-5。押し出し四球で5-5同点。連続押し出しで6-5と逆転
【第5打席=右前適時打】
東海大菅生投手は右腕羽生
◆8回2死満塁 カウント0-1から123キロの変化球を打って一、二塁間を破る右前適時打。6試合連続安打で7-5。さらに押し出しで8-5
早実は5点差を逆転、8-6で勝ち5年ぶり29度目の夏の甲子園出場を決めた
清宮のコメント
「この展開は想定内だった。あせることなく、いつも通りの野球ができたから8点取れた。西東京大会では100%発揮できてない。甲子園で暴れてきたい」
- 8回表早実2死満塁、適時打を放つ清宮(撮影・江口和貴)
- 優勝を決めて喜ぶ早実ナイン(撮影・松本俊)
- 優勝を決め校歌斉唱で涙をぬぐう早実・清宮(右から2人目)(撮影・松本俊)
準決勝:早実2-0日大三
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日大三 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
早 実 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 2 |
観衆は1万3000人、報道陣は34社147人
神宮は開門を1時間早め午前7時に開場
【第1打席=四球】
日大三先発は右腕桑村和哉
◆1回1死三塁 ストレートの四球
4番加藤が遊ゴロ併殺打に倒れ先制ならず
【第2打席=右中間2点二塁打】
◆3回2死一、三塁 フルカウントから130キロ真ん中やや外寄りを右中間フェンス直撃の先制2点適時二塁打!
【第3打席=空振り三振】
相手投手は右腕小谷野楽夕
◆6回先頭打者 2-2から125キロ外角低めに落ちるフォークボールを空振り三振。今大会初三振
【第4打席=空振り三振】
相手投手は右腕小谷野楽夕
◆8回先頭打者 3球三振。初球120キロ空振り、2球目128キロ空振り、3球目128キロ真ん中低め空振り
清宮のコメント
「自分の1本で勝てた充実感はある。(決勝は)どんな球でも打ってやる、という気持ちで、絶対に勝って甲子園に行きたい」
- 3回裏早実2死一、三塁、先制2点適時二塁打を放つ清宮(撮影・江口和貴)
準々決勝:早実11-5八王子学園八王子
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
八王子 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 0 | 5 |
早 実 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | × | 11 |
観衆は1万3000人、報道陣は34社121人
神宮初見参。「3番一塁」で先発出場
【第1打席=二ゴロ】
八王子学園八王子先発は左腕横森拓也
◆1回1死二塁 初球の132キロ直球を振り抜き、強い打球を放ったが二ゴロに終わる。二塁走者は三塁へ。続く加藤雅樹が四球の後、5番金子銀佑、6番富田直希の連続適時打で早実が3点を奪い逆転に成功。
- 八王子学園八王子対早実 1回裏早実1死二塁、二ゴロに打ち取られる清宮(撮影・狩俣裕三)
【第2打席=死球】
◆2回無死一、三塁 初球ボールの後、132キロの内角球が右肩付近へ当たる死球。満塁となり、続く加藤雅樹が右前2点打。早実はこの回3得点。
【第3打席=一ゴロ】
◆3回2死一、二塁 フルカウントからの6球目、134キロ外角低めの直球を一ゴロ。早実はこの回1得点。
【第4打席=中前打】
八王子学園八王子の投手は篠原
◆6回1死走者なし カウント2-2から6球目、外角低めへの122キロ変化球を右手1本で中前へ落とす安打。これで清宮はこの夏4戦連続安打。早実はこの回2得点。
- 八王子学園八王子対早実 6回裏早実1死、中前打を放つ清宮(撮影・狩俣裕三)
7回裏の攻撃から神宮球場にナイター照明が灯る
【第5打席=死球】
八王子学園八王子の投手は横森
◆8回先頭打者 カウント2-2から5球目、112キロスライダーがすっぽ抜け背中に当たる死球。続く加藤雅樹の二ゴロの間に二塁へ進み、5番金子銀佑の左越え三塁打で10点目のホームを踏む。早実はさらにこの回1得点。
- 八王子学園八王子対早実 8回裏早実無死、この日2度目の死球を受ける清宮(撮影・狩俣裕三)
清宮のコメント
「小さいころから早大の試合を観に来ました。自分にとっていい財産になったと思います。昂ぶる面はありました。東京の高校球児の聖地ですから。(球場の印象は)きれいでしたね。打球がよく飛ぶなと思いました。ヒットの延長が入ってくれるかな、芯に当たれば入る感じがしました」
【試合前】
13時19分 バスで神宮球場に到着。正面玄関から球場入り
14時10分 三塁奥の従業員控え室を通ってウオーミングアップへ
14時15分 左翼席裏の売店前の通路を立ち入り禁止区域に仕切り、ウオーミングアップ開始
ネット裏はほぼ満席。この日は外野席も開放
5回戦:早実9-8日野(八王子市民)
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日野 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 2 | 8 |
早実 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 | 1 | 9 |
観衆は6000人、報道陣は25社65人
「3番一塁」で先発出場
【第1打席=中越え三塁打】
日野先発は右腕青山祐希
◆1回2死 初球ストライク、2球目ボールの後の3球目、真ん中スライダーを中越え三塁打。今夏、初の三塁打をマーク。加藤雅樹が適時打を放って清宮が生還し、早実が1点先制。
- 日野対早実 1回裏早実2死、三塁打を放つ清宮(撮影・江口和貴)
【第2打席=右前安打】
日野投手は青山
◆3回1死二塁 初球を打ち右前へ勝ち越し適時打。早実が2-1とした。
- 3回裏早実1死二塁、右前に勝ち越し適時打を放つ清宮(撮影・江口和貴)
【第3打席=中前安打】
日野投手は青山
◆5回2死 初球ストライク、2球目ボール、3球目ファウル、4球目ボールから5球目真ん中低め直球を中前安打。3打数3安打の活躍。
- 5回裏早実2死、3打席連続安打を放つ清宮(撮影・丹羽敏通)
【第4打席=中犠飛】
日野投手は青山
◆7回1死二、三塁 3ボールから4球目外寄り高め直球を中犠飛。貴重な追加点で早実が3-1とした。
- 7回裏早実1死二、三塁、大勢の観客が見つめる中、犠飛を放つ清宮(撮影・江口和貴)
早実は松本、服部、上條と継投したが、8回表に5点を許し5-6と逆転された。
【第5打席=中越え二塁打】
日野投手は箱田
◆8回に早実は6-6に追いついた。なおも1死一、二塁から清宮が中越え適時二塁打で7-6と勝ち越し。さらに4番加藤の犠飛で8-6とした。
- 8回裏早実1死一、二塁、勝ち越し2点適時二塁打を放つ清宮(撮影・江口和貴)
日野も粘りを見せ、9回表に2点を入れて8-8の同点とした。
早実は9回裏、9番渡辺大地がサヨナラ打を放ち、接戦を制した。
清宮のコメント
「勝ててホッとしました」
- 試合後の囲み取材で笑顔を見せながら汗をぬぐう早実・清宮(撮影・江口和貴)
- 試合後、母校日野を破った早実・清宮について語ったアンジャッシュ渡部(撮影・江口和貴)
4回戦:早実12-5府中西(7回コールド)
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
府中西 | 0 | 1 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | X | X | 5 |
早 実 | 3 | 6 | 0 | 0 | 0 | 3 | X | X | X | 12 |
観衆は4000人、報道陣は20社52人
「3番一塁」で先発出場
【第1打席=左中間適時二塁打】
府中西先発は右腕内田浩太
◆1回1死二塁 初球ファウルの後の2球目、内角寄りの直球を左中間へ先制の適時二塁打。今夏、初長打をマーク。4番加藤の適時三塁打で2点目のホームイン
- 府中西対早実 1回裏早実1死二塁、先制適時二塁打を放つ清宮(撮影・江口和貴)
【第2打席=左へ2点適時二塁打】
◆2回無死一、三塁 カウント1-2からの4球目、外角低め直球を左翼線へ適時二塁打し2者生還。これで3打点目
- 2回裏早実無死一、三塁、2点適時二塁打を放つ清宮(撮影・江口和貴)
【第3打席=右飛】
府中西投手は右腕小倉和宏
◆4回無死一塁 カウント2-1からの4球目直球を打ち上げ右飛
【第4打席=四球】
◆6回1死二塁 初球ファウルの後4球続けてボールで四球
清宮のコメント
「勝手に逆方向に飛んでいくのが本来の感じ。先制点でチームに貢献できたのは本当にでかい。(自己採点は)70点くらいですかね。全然です」
- 試合後、報道陣に対応し笑顔を見せる早実・清宮(撮影・江口和貴)
3回戦:早実8-4東大和南
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
早 実 | 2 | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 8 |
東大和南 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
観衆は3500人、報道陣は26社90人
「3番一塁」で先発出場
【第1打席=四球】
東大和南先発は右腕奥田逸平
◆1回1死三塁 初球から3球続けて外角へのボール。4球目をファウル。5球目の外角低め変化球を選んで四球。続く4番加藤の右中間適時二塁打で早実は1点先制。三塁に進んだ清宮はその後、暴投で2点目のホームを踏んだ
【第2打席=四球】
◆3回1死走者なし 初球ボールの後、2、3球目のカーブを空振り。1-2と追い込まれたがそこから3球続けてボールを選び1打席目に続き四球
【第3打席=二直】
◆4回2死一、三塁 カウント2-1から4球目を打って二塁ライナー。二塁手がジャンプして好捕。初安打ならず
【第4打席=投ゴロ】
相手投手が左腕内山直大に代わる
◆6回無死走者なし カウント3-1から変化球を打ったが詰まって投ゴロ
【第5打席=遊撃適時内野安打】
◆8回1死三塁 カウント3-2から7球目の変化球を打ち上げたが遊撃後方へポトリと落ちる適時安打。今夏初安打初打点をマーク。8-4とリードを広げた。
清宮のコメント
「自分の調子がおかしかった。春で(公式戦の)感覚をつかめたと思ったけど、夏は違った」
- 1回表早実1死三塁、四球を選ぶ清宮(撮影・江口和貴)
- 1回表早実1死二、三塁、相手投手の暴投で生還した三塁走者清宮(撮影・江口和貴)
- 3回表早実1死、四球を選んだ清宮(左)(撮影・江口和貴)
- 4回表早実2死一、三塁、二直に倒れる清宮(撮影・江口和貴)
- 6回表早実無死、投ゴロに倒れる清宮(撮影・江口和貴)
- 7回裏東大和南無死、打球をグラブで弾き失策とする一塁手清宮(撮影・江口和貴)
- 8回表早実1死三塁、遊撃後方へ適時打を放つ清宮(撮影・江口和貴)
- 観戦する早実・清宮の父克幸さん(中央)(撮影・江口和貴)
- 試合後、大勢の報道陣に囲まれる早実・清宮(右端)(撮影・江口和貴)
清宮幸太郎アラカルト
生まれ 1999年5月25日、東京都生まれ
身長 184センチ
体重 97キロ。中1当時183センチ94キロあった
足のサイズ 31センチ
投・打 右投・左打
ラグビー歴 小4まで。その後野球一本に
家族 父・母・弟。父はラグビーのトップリーグ、ヤマハ発動機の清宮克幸監督
世界最長弾 早実中1年の12年夏、東京北砂リトルの主砲として米で開催されたリトルリーグ世界選手権に出場。8月22日パナマ戦で、右翼席中段へ推定310フィート(約94メートル)の本塁打を放った。66回目の同大会史上最長のアーチは、米メディアに「モンスター・ホームラン」と形容された。この大会、5試合で打率6割6分7厘、3本塁打で世界一に貢献
“104マイル”投手 リトルの世界大会で、この年代では飛び抜けている80マイル(129キロ)の速球も話題に。米メディアで「投本間が短いリトルリーグ。体感では104マイル(167キロ)に相当する。ジャパニーズ・ベーブ・ルースだ」と、驚きとともに紹介された
中2で160メートル弾 13年12月15日、阪神掛布打撃コーディネーター(DC)が調布シニアの練習を視察。清宮がシート打撃で放った推定160メートルの場外弾に「清原、松井クラス」と大絶賛した
佑見て野球 06年夏の甲子園を観戦。「ラグビーも大好きでしたが、野球の方が勝負できる」
1300グラムバット 木製バットで日々ティー打撃を行う