プロ注目の大分商、森下暢仁(まさと)投手(3年)が6回1安打無失点の好投で大分高専を下し、7回コールドで8強に駒を進めた。変化球主体の組み立てで最速148キロの直球をセーブし、90キロ台のカーブを多投する大人の省エネ投球で、甲子園まであと3勝と迫った。

 自己最速タイの148キロをマークした初戦の2回戦とは別人だった。大分商・森下が、3回戦では先を見据えた大人の投球。直球を140キロ前後にセーブし、最遅95キロのカーブを多投して、わずか67球で6回1安打無失点。初戦は直球主体で押したが、この日は直球の最速も143キロにセーブした。カーブにカットボール、チェンジアップと、緩急を生かした投球でアウトを重ねた。

 「打線も調子も上がってきたので、自分も負けずに抑えたいと思った。球速はコントロールして、球数を減らして打たせて取ることを考えた」

 試合前、渡辺正雄監督(42)から「五分の力でいけ」と指示を受けた。3回戦から決勝まで、中1日のペースで4試合が続く日程を考えてのプラン。7回は2番手古木塁投手(3年)にマウンドを譲って三塁手に回り、肩の疲労を最小限に食い止めた。

 台風11号が接近した16日の初戦に続き、この日も大分では最大瞬間風速14・3メートルの強風が吹いたが、制球は抜群だった。「風は(同16・1メートルだった)前回よりましだった。カーブは高く浮くと打たれるので、低めに集めることを意識した」。制球力アップのためにティー打撃用の器具にボールを置き、その球に当てる練習を昨冬に繰り返したことが夏の本番で生きた。

 スタンドでは初戦に続き、プロ8球団のスカウトが森下の投球を見守った。初戦の別府青山・別府翔青戦での3安打完封に続く、6回無失点。ソフトバンク福山スカウトは「今日は先を見越しての投球だったが、風が強い中でも、変化球でカウントが取れる。手先に器用さを感じる」と、変わらぬ評価を下した。

 今夏15イニング連続無失点で、2年ぶりの甲子園まで、あと3勝となった。佐伯鶴城との準々決勝。九州NO・1右腕への注目は、高まるばかりだ。【福岡吉央】