「キヨミー」が、侍デビュー戦でまさかの3三振を喫した。第27回U18(18歳以下)ワールドカップ(28日~9月6日、甲子園ほか)に出場する高校日本代表が、奈良県内で近大の1、2年生と初の練習試合を行い、敗れた。「5番DH」で出場した早実(西東京)清宮幸太郎内野手(1年)は、すべて変化球で3つの空振り三振を含む4打数無安打に終わった。

 飛距離が出ない木製バットを使用した「キヨミー」の初戦は、そのバットに当たらないという、思わぬ結果に終わった。

 第1打席遊ゴロで迎えた3回の第2打席は、外角低めのスプリットに空振り三振。6回の第3打席は、外角スライダーで空振り三振。8回1死三塁のチャンスで迎えた第4打席は、黒バットから30グラム軽い880グラムの白木に持ち替えた。「振れてなかった」とリズムを変えたが、カウント2-2から外角低めのカットボールで3連続空振り三振に倒れた。

 4打席で、変化球の空振りは計7つ。格上の大学生相手に無安打に終わり、西東京大会初戦から続けた連続試合安打は11試合で“ストップ”した。「今日は見て分かるとおり、全然ダメでした。大学生の球も良かったですが、それ以上にタイミングとか、体重移動とか、自分の形に持って行けなかったのが、打てなかった原因」と言った。

 3三振は、夏前の練習試合、日本文理(新潟)戦で4三振を喫して以来。初体験のDHに「少しテンポがおかしいところがあった」と打席に入る感覚が狂った。満員の甲子園から、お客さん不在の練習試合に戻った。「甲子園とか公式戦と比べてしまうと、盛り上がりとかあまりない。そこも自分のいけないところ」と、集中力を欠いていた。

 大舞台でこそ力を発揮するのが清宮だが、試合に入る準備を含めて、反省ばかりを口にした。この日は、リトルリーグ世界大会に出場中の弟福太郎が代打本塁打を放った。家族から連絡で知ったという清宮は「全然、日本の時に打ってなかったので不安があったけど、素直にうれしいです」と喜んだ。出発前には「オレよりホームランを打ってこいよ」と激励。“アベック本塁打”を逃し「弟に負けてられない。自分も頑張らないと」と刺激にした。

 清宮にとって「初」試合はいつも鬼門だ。「初戦に強くない。甲子園も西東京大会も初戦は全然でした」と苦笑い。試合後のフリー打撃では、鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように58スイングで7本の柵越えを放った。今日25日はナイターで関大との練習試合を予定。へこむはずの3三振も吉兆ととらえ、「キヨミー」は世界一への歩みを進めていく。【前田祐輔】