東北屈指のスラッガーが東都で飛躍する。盛岡大付(岩手)の高校通算50本塁打、遠藤真(しん)内野手(3年)が、東都大学野球1部リーグで24度の優勝を誇る中大に進学する。2年生だった昨夏の甲子園では、今年のセンバツ優勝投手、敦賀気比(福井)平沼翔太(3年)から1発を放つなど、2試合連続アーチをかけた。ドラフト候補にもなった強打者は、大学で力を磨いてプロ入りを目指す。

 プロ入りへのステップだ。遠藤は力強く言った。「(大学に)入ってからが勝負。そこまでしっかり練習したい」。12日にスポーツ推薦で、盛岡大付硬式野球部から初めて中大に合格。バットを金属から木製に変え、来春1年生からのベンチ入りを狙っている。

 179センチ、87キロ、バネのようなスイングが魅力だ。昨夏の甲子園では、東海大相模(神奈川)との初戦(2回戦)で左翼ポール際にソロ。1-16と敦賀気比に大敗した3回戦は左翼席に放り込み、チーム唯一の得点を挙げた。「今までにない雰囲気だったので、力以上のものが出たのかも」と振り返る。中学時代から「勝負強かった」と言う。ソフトバンクに入団したエース松本が注目された中、2年生5番の遠藤も生まれ持った才能を発揮した。

 その強打にプロのスカウトも注目した。ただ関口清治監督(38)は「野手で高卒は厳しい世界と思って」と遠藤と話し合い、プロ志望届は提出しなかった。遠藤も「大学を卒業してからプロにつながることも多い」と考えた。8月に中大のセレクションに参加。同大関係者の勧めもあって進学を決めた。

 2年生から小学6年生までソフトボール一筋。軟球や硬球より大きくて軟らかいボールは、体の軸を使って打たないと飛距離が出ない。「それが生きたのかもしれない」と話す。その時鍛えた打撃力が源となり、盛岡大付では週3日は打撃練習のみ。高校通算50本塁打をマークした、スラッガーの素質が花開いた。

 関口監督は「日本一レベルの高いリーグだと思う。東都で輝くのは日本で輝くのと一緒」とエールを送る。中大は04年秋を最後に1部優勝から遠ざかる。V貢献の期待も背負う遠藤は「4年間で力をつけて、自信を持ってプロに行けたら」と言った。戦国東都で新たな挑戦が始まる。【久野朗】

 ◆遠藤真(えんどう・しん)1997年(平9)6月30日、福島県いわき市生まれ。豊間小2年でソフトボールを始める。豊間中では硬式の「いわきボーイズ」に所属し、3年時に全国16強。盛岡大付では1年春の東北大会にベンチ入りし、同年秋からレギュラー。今夏の岩手大会は準々決勝で専大北上に敗れた。遊撃、三塁、二塁をこなす。179センチ、87キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄、姉。