第88回選抜高校野球大会(3月20日開幕、甲子園)の選考委員会が29日、大阪市内で開かれ、32校を選出した。今秋ドラフト上位候補で最速145キロ左腕の高橋昂也投手(2年)を擁する花咲徳栄(埼玉)が、関東・東京6校目に滑り込んだ。組み合わせ抽選会は3月11日に行われる。

 祈りが通じた。花咲徳栄の高橋昂が、2季連続の甲子園を決めた喜びをかみしめた。「(昨秋の関東大会準々決勝で)負けた直後はダメだと思ったけど、行けると信じて練習してきた。決まってうれしい」。不安から解き放たれ、笑顔で拳を突き上げた。

 微妙な立場で運命の日を迎えた。関東大会は、優勝した木更津総合(千葉)に惜敗して8強止まり。東京大会準優勝の二松学舎大付と関東・東京の6校目を争った。同学年には、関東大会で投げ合った木更津総合の早川隆久、最速150キロを誇る大阪桐蔭・高山優希ら好左腕がそろう。ライバルたちが出場を当確にする中、高橋昂も「負けたくないし、センバツに出るつもりで直球を磨いてきた」。対抗心を燃やし、対戦を心待ちにしていた。

 NO・1の座を奪い取る。過去センバツでの左腕の最速は、09年に西武菊池(岩手・花巻東)がマークした152キロ。「阪神の藤川さんのように、読まれていても打たせない直球を投げて、球速が出たらうれしい」。スピードアップを最大目標に掲げた冬の練習の成果を甲子園で見せるつもりだ。

 昨年11月、侍ジャパンのプレミア12を岩井隆監督(46)の部屋で観戦した。2人で日本ハム大谷を分析。「腕の振りが速くて、マウンドを蹴る力も強いから、速い球が投げられる」。日本人最速右腕を教材に、翌日から2時間ぶっ通しの全力シャドーも加えて上半身を強化。下半身は砂を敷き詰めた場所での50メートルダッシュ50本でいじめ抜いた。

 昨夏の甲子園はリリーフとして8強入りに貢献したが、敗れた東海大相模(神奈川)戦のビデオを何度も見返すほど悔しかった。エースとして臨む春、高橋昂が大きな花を咲かせる。【鹿野雄太】

 ◆高橋昂也(たかはし・こうや)1998年(平10)9月27日、埼玉・久喜市生まれ。小3から栗橋ジャイアンツで野球を始める。栗橋東中では久喜シニアに所属。花咲徳栄では1年秋からベンチ入り。2年夏に甲子園8強。181センチ、83キロ。左投げ左打ち。遠投120メートル。家族は両親と姉。血液型A。

 ◆左腕の球速 スピードガンが普及した80年以降、甲子園で150キロ以上を出した左投手は05年夏の辻内(大阪桐蔭=156キロ)09年春夏の菊池(花巻東=春152キロ、夏155キロ)15年夏の小笠原(東海大相模=151キロ)。春は菊池だけだ。