第88回選抜高校野球大会(3月20日開幕、甲子園)の選考委員会が29日、大阪市内で開かれ、21世紀枠での釜石など3校を含めた32校を選出した。組み合わせ抽選会は3月11日に行われる。

 吉報から約6時間半後、小豆島(香川)が歓喜に沸いた。午後9時半を過ぎ、修学旅行で北海道を訪れていた2年生部員8人が、最終のフェリーで島に戻った。街灯の少ない町内の一角にある草壁港は、300人を超える町民であふれかえった。校歌を歌い、杉吉勇輝監督(32)の胴上げで21世紀枠でのセンバツ出場を祝った。

 2年生は経由地の羽田空港で吉報を聞いたが、その後はドタバタだった。濃霧で高松空港が閉鎖されたため、岡山へ飛び、陸路で高松へ向かいフェリーに乗った。慌ただしい記念日だったが、樋本尚也主将(2年)は「島が近づいてきて、夜遅くに多くの人が集まってくれて本当にうれしい。島民全員で甲子園で1勝をつかみたい」と、喜びを口にした。

 学校に残った1年生9人は、吉報を受けた直後にスクールバス運転手、後藤高伸さん(74)を胴上げした。2校しか高校のない小豆島は練習試合もフェリーでの移動が欠かせない。後藤さんは13年もの間、週末は野球部優先でハンドルを握って送迎してくれた。昨秋の香川大会では明治神宮大会王者となった高松商を破り初優勝した。離島のハンディ克服は、多くの人に支えられた結果でもあった。

 来春には島内の別の高校と統合する予定もある。杉吉監督は「島の人たちの期待が励みになった。本番をイメージしてしっかり準備していきたい」と大舞台に思いをはせた。【浜口学】