滋賀学園の「ヘリコプター打法」馬越が、8回に待望の甲子園初アーチを飛ばした。左中間スタンドに入った打球が跳ね、外野芝生へ逆戻り。自称92キロの4番は、半信半疑で三塁手前まで全力疾走。「三塁コーチのホームランというジェスチャーで分かりました」と巨体にブレーキをかけた。

 5打席すべてに走者がいた。釜石の岩間がセットポジションに入ると、馬越は黒バット右回しを開始。走者なしでは平均4回転だが、この日は8回転から10回転と回転数を上げていた。

 前日の夕食は野菜サラダとみそ汁だけだった。それまで宿舎のバイキング料理を食べ過ぎて山口達也監督(44)が「体の切れが悪くなっている」と指摘。決意の自粛が公式戦4本目、高校通算16本目を生んだ。「これで、子どもたちがフォームをまねしてくれたりすればうれしい」。次戦勝利で滋賀県勢初の春4強。主砲のヘリ打法で、ぐんぐん上昇する。【宇佐見英治】